トレーシングレポート(服薬情報提供書)の作成頻度に関する意識調査と作成頻度を向上させるための考察

トレーシングレポートは保険薬局において,医薬品の適正使用を推進する上で重要なツールである.しかし,その導入や運用の歴史は比較的浅く,薬剤師を対象とした実態調査は十分でない.そこで今回,作成頻度の向上を目指して,薬剤師個人に対してトレーシングレポートの作成実態を調査した.2020年11月の一カ月間,保険薬局に勤務する薬剤師を対象に,回答者の属性とともに,トレーシングレポートの作成頻度や疑義照会の件数,普段の業務における心理的背景などについてアンケートを実施した.88名の薬剤師から有効回答を得た.一週間に1回以上の頻度でトレーシングレポートを作成・提出していると回答した薬剤師は14%程度であり,約...

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Published in薬局薬学 Vol. 16; no. 1; pp. 76 - 84
Main Authors 小森, 浩二, 向井, 啓, 河部, 由生奈, 河田, 興, 小山, 裕之, 小西, 麗子, 眞島, 崇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本薬局学会 2024
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ISSN1884-3077
2434-3242
DOI10.32160/yakkyoku.cr.2023-0010

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Summary:トレーシングレポートは保険薬局において,医薬品の適正使用を推進する上で重要なツールである.しかし,その導入や運用の歴史は比較的浅く,薬剤師を対象とした実態調査は十分でない.そこで今回,作成頻度の向上を目指して,薬剤師個人に対してトレーシングレポートの作成実態を調査した.2020年11月の一カ月間,保険薬局に勤務する薬剤師を対象に,回答者の属性とともに,トレーシングレポートの作成頻度や疑義照会の件数,普段の業務における心理的背景などについてアンケートを実施した.88名の薬剤師から有効回答を得た.一週間に1回以上の頻度でトレーシングレポートを作成・提出していると回答した薬剤師は14%程度であり,約60%の薬剤師が一週間に平均して0回ではないが1回未満の頻度を選んだ.トレーシングレポートの作成頻度の向上のためには,薬学的疑義を見出すための知識の向上が必要であると考えられた.
ISSN:1884-3077
2434-3242
DOI:10.32160/yakkyoku.cr.2023-0010