新生児, 未熟児におけるAztreonam単独療法及びAztreonamとAmpicillin併用療法時の基礎的, 臨床的検討

β-Lactam系抗生物質のMonobactam系薬剤に属するAztreonam (AZT) を新生児4例, 未熟児2例, 計6例に20mg/kg, One shot静注で投与し血漿中, 尿中濃度及び尿中回収率を測定, AZTを単独で0生日から43生日の新生児, 未熟児の細菌感染症6例と感染予防を目的として11例に本剤を1目量平均70.9mg/kg, 分2~4, いずれもOne shot静注で, 平均8日間投与, AZTとAmpicillin (ABPC) の併用では0生日から79生日の新生児, 未熟児の細菌感染症28例, 感染予防を目的として18例にAZTは1日量平均46.6mg/kg, 分...

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Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 43; no. 3; pp. 503 - 523
Main Authors 本廣, 孝, 織田, 慶子, 荒巻, 雅史, 川上, 晃, 田中, 耕一, 古賀, 達彦, 島田, 康, 冨田, 尚文, 阪田, 保隆, 富永, 薫, 山下, 文雄, 高城, 信彦, 二宮, 正幸, 清水, 隆史, 佐久間, 浩子, 岡林, 抄由理, 山田, 孝, 松元, 透, 大部, 敬三, 今井, 昌一, 市川, 光太郎, 高橋, 耕一, 山田, 秀二, 間, 克麿, 山下, 康博, 田中, 洋子, 石井, 正浩, 三宅, 巧, 荒木, 久昭, 村上, 義比古, 後藤, 安見児, 関, 浩孝, 原田, 博子, 山村, 純一, 松元, 康治, 石川, 豊, 永山, 清高, 安岡, 盟, 橋本, 武夫, 杉村, 徹, 前野, 泰樹, 徳永, 泰幸, 稲田, 浩子, 吉永, 陽一郎, 村上, 泰由, 赤木, 禎治, 山下, 裕史朗, 西見, 寿博, 福田, 清一, 原田, 豊, 石本, 耕治, 高木, 純一, 西山, 亨, 中村, 秀文, 岩永, 理香子, 雪竹, 美穂子, 沖, 真一郎, 山川, 良一, 佐々木, 宏和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 1990
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Summary:β-Lactam系抗生物質のMonobactam系薬剤に属するAztreonam (AZT) を新生児4例, 未熟児2例, 計6例に20mg/kg, One shot静注で投与し血漿中, 尿中濃度及び尿中回収率を測定, AZTを単独で0生日から43生日の新生児, 未熟児の細菌感染症6例と感染予防を目的として11例に本剤を1目量平均70.9mg/kg, 分2~4, いずれもOne shot静注で, 平均8日間投与, AZTとAmpicillin (ABPC) の併用では0生日から79生日の新生児, 未熟児の細菌感染症28例, 感染予防を目的として18例にAZTは1日量平均46.6mg/kg, 分2か分3, One shot静注か点滴静注で, 平均8日間投与, ABPCは1日量平均78.6mg/kg, 1日投与回数, 静注方法, 平均投与日数はAZTと同じで投与し, 臨床効果, 感染予防効果, 細菌学的効果をみると共に副作用と臨床検査値への影響について検討したところ, 次のような結果を得た。 1.6生日と7生日の新生児各1例にAZTを20mg/kg One shot静注で投与しての血漿中濃度はいずれも投与後5分が最高濃度で, 各々62.9μg/ml, 72.7μg/ml, AUCはそれぞれ216.6μg・hr/ml, 231.6μg・hr/ml, 半減期は各々2.80時間, 2.97時間であった。5生日と6生日の未熟児に20mg/kgをOne shot静注しての血漿中濃度は前者では投与後15分, 後者では投与後5分が最も高い濃度で, それぞれ59.8μg/ml, 67.7μg/ml, AUCは各々356.6μg・hr/ml, 363.2μg・hr/mlで, 前述の新生児より大を示し, 半減期はそれぞれ5.74時間, 4.87時間で, 前述の新生児より延長した。8生日と13生日の新生児に20mg/kgをOne shot静注しての血漿中濃度は前者では投与後30分, 後者では投与後5分でピーク値を示し, 各々43.4μg/ml, 76.9μg/ml, AUCはそれぞれ202.9μg・hr/ml, 189.8μg・hr/mlで, 前述の新生児, 未熟児のAUCに比べ小を示し, 半減期は各々3.11時間, 2.00時間で前述の6生日と7生日の新生児の半減期に類似か延長した。 2.血漿中濃度測定と同一の症例で尿中濃度を測定したところ, いずれの症例も投与後0~2時間か2~4時間が最高濃度で338~1,053μg/mlを示し, 6例中5例は投与後8時間まで, 1例は投与後6時間までに48.6~75.3%回収でき, 測定できた日齢内での回収率では著しく異なるとは言えなかった。 3.AZTを単独で投与した細菌感染症の臨床効果は6例中著効2例, 有効3例, 無効1例で, 感染予防を目的とした11例ではすべてに予防効果が得られた。一方AZTとABPCを併用で投与した細菌感染症の臨床効果は28例中著効例はなく, 有効25例, やや有効2例, 無効1例で, 有効以上の有効率は89.3%を示し, 感染予防を目的とした18例ではすべてに予防効果が得られた。 4.AZTを単独で投与した症例での細菌学的効果はEscherichia coli2株とE.coliとKlebsiella pneumoniaeの混合感染例で判定でき, いずれも消失したが, E.coliの単独感染1例はEnterococcus faecalis, 混合感染例もE.faecalisへ菌交代した。AZTとABPCの併用例ではHaemophilus influenzaeとE.coliの各1株, Klebsiella oxytocaの2株で判定でき, いずれも消失した。 5.副作用はAZTの単独投与例での出現はなかったが, AZTとABPC併用例で発疹が1例にみられ, いずれの薬剤によるかは不明であるが, 関連はあるかもしれないとされた。臨床検査値への影響ではAZTの単独投与例で10%以上への好酸球増多が2例, GOT, GPT, LDHの同時異常上昇が1例に出現し, 前者の2例は本剤との関連があるかもしれない, 後者の1例は本剤との関連は多分ありとされた。AZTとABPCを併用で投与した症例では10%以上への好酸球増多が7例, GOT単独, GOTとGPTの同時異常値が各1例に出現し, いずれの薬剤によるかは不明であるが, 関連があるかもしれないとされた。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.43.503