Gilbert症候群の生体肝移植ドナーの経験
Gilbert症候群の肝移植ドナーからのグラフト採取術は既報によれば安全に施行可能で、ドナー肝としても問題ないとされているがその報告は少ない。今回Gilbert症候群のドナーから右葉グラフトを用いた生体肝移植術を経験したので報告する。ドナーは26歳男性。AIHを背景とした非代償性肝硬変の62歳の母親に対する肝移植ドナー検査において、TBil1.9mg /dL(D/I=0.5/1.4)と軽度高値を初めて指摘された。空腹時の間接ビリルビンの優位な上昇からGilbert症候群と診断した。肝予備能は良好でICGR15は8%。既報も参考にドナーの安全性は担保されるものと判断し当院の移植適応判定委員会の承...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s337_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s337_1 |
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Summary: | Gilbert症候群の肝移植ドナーからのグラフト採取術は既報によれば安全に施行可能で、ドナー肝としても問題ないとされているがその報告は少ない。今回Gilbert症候群のドナーから右葉グラフトを用いた生体肝移植術を経験したので報告する。ドナーは26歳男性。AIHを背景とした非代償性肝硬変の62歳の母親に対する肝移植ドナー検査において、TBil1.9mg /dL(D/I=0.5/1.4)と軽度高値を初めて指摘された。空腹時の間接ビリルビンの優位な上昇からGilbert症候群と診断した。肝予備能は良好でICGR15は8%。既報も参考にドナーの安全性は担保されるものと判断し当院の移植適応判定委員会の承認を得て肝移植術を施行した。右葉グラフト採取術が施行され、開腹後のBiopsyでも移植肝として相応しいと判断された。手術時間330分、出血量70ml。グラフト重量は596g。2病目にTBil6.2mg/dL(D/I=0.9/5.3)の間接ビリルビン優位の黄疸を認めるが、速やかに改善し9病日に退院。退院後も間接ビリルビンの軽度上昇のほか異常を認めていない。レシピエントは軽度の拒絶や薬剤性肝障害を認めたものの経時的に回復得ている。Gilbert症候群の肝移植ドナーからのグラフト採取術は既報通り安全に施行されたが、ドナーの長期的な健康、レシピエントの経過、特に黄疸の推移に注目することが重要と考える。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s337_1 |