腹腔鏡下切除術を施行した上行結腸巨大憩室症の1例

症例は70歳台女性.慢性腎不全に対して当院通院加療中.3年前に撮像した腹部単純CTで上行結腸に35mm大の巨大憩室を指摘され,CT検査で経過観察されていた.憩室炎を繰り返し,憩室が増大傾向にあったため,手術目的に当科紹介となった.憩室は50mm大まで増大しており,待機的に腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.術後は合併症なく経過し,術後11日目に退院した.巨大憩室症は比較的な稀な疾患ではあるが,穿孔や膿瘍形成などの病態を呈すると重症化するリスクが高い.本邦では巨大憩室症の報告は少なく,予防的切除の適応や術式について定まったものは存在していないが,海外の報告では,無症候性であっても診断した時点で予防的...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 78; no. 7; pp. 273 - 278
Main Authors 内山, 優史, 福永, 睦, 笹生, 和宏, 小森, 孝通, 水野, 剛志, 河井, 邦彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本大腸肛門病学会 2025
Subjects
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.78.273

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Summary:症例は70歳台女性.慢性腎不全に対して当院通院加療中.3年前に撮像した腹部単純CTで上行結腸に35mm大の巨大憩室を指摘され,CT検査で経過観察されていた.憩室炎を繰り返し,憩室が増大傾向にあったため,手術目的に当科紹介となった.憩室は50mm大まで増大しており,待機的に腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.術後は合併症なく経過し,術後11日目に退院した.巨大憩室症は比較的な稀な疾患ではあるが,穿孔や膿瘍形成などの病態を呈すると重症化するリスクが高い.本邦では巨大憩室症の報告は少なく,予防的切除の適応や術式について定まったものは存在していないが,海外の報告では,無症候性であっても診断した時点で予防的切除が望ましいとの報告も存在する.今回,巨大憩室症に対して待機的に腹腔鏡下回盲部切除術を行った1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.78.273