膀胱拡大術後に生体腎移植を施行した1例

症例は10歳代の女性、身長149.6cm、体重51.0kg、BMI 22.8 kg/m2。二分脊椎、脊髄髄膜瘤のため出生時より神経因性膀胱の状態だった。膀胱尿管逆流防止術が行われ、その後尿管膀胱新吻合術や右尿管利用膀胱拡大術及び交叉性尿管尿管吻合術が行われるも、上部尿路拡張と腎機能障害を認めたため、胃・回腸利用膀胱拡大術及び臍部への小腸利用Monti-Mitrofanoff導尿路作成術が施行された。以後、臍の導尿路より間欠的自己導尿(CIC)を継続していた。8年前から経時的な腎機能障害を認め、先行的腎移植目的に当科を受診した。膀胱機能評価では膀胱容量は450mLでコンプライアンスも良好であった...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s361_2
Main Authors 鳴海, 俊治, 西川, 涼馬, 青木, 太郎, 二村, 健太, 後藤, 憲彦, 岡田, 学, 児玉, 卓也, 長谷川, 雄基, 平光, 高久, 一森, 敏弘, 姫野, 智紀, 島本, 侑樹, 渡井, 至彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s361_2

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Summary:症例は10歳代の女性、身長149.6cm、体重51.0kg、BMI 22.8 kg/m2。二分脊椎、脊髄髄膜瘤のため出生時より神経因性膀胱の状態だった。膀胱尿管逆流防止術が行われ、その後尿管膀胱新吻合術や右尿管利用膀胱拡大術及び交叉性尿管尿管吻合術が行われるも、上部尿路拡張と腎機能障害を認めたため、胃・回腸利用膀胱拡大術及び臍部への小腸利用Monti-Mitrofanoff導尿路作成術が施行された。以後、臍の導尿路より間欠的自己導尿(CIC)を継続していた。8年前から経時的な腎機能障害を認め、先行的腎移植目的に当科を受診した。膀胱機能評価では膀胱容量は450mLでコンプライアンスも良好であった。術前Cr は4.18mg/dLであり、父をドナーとする血液型適合生体腎移植術を施行した。グラフト重量232g、手術時間3時間41分、WIT 2分、TIT 1時間1分、出血量 110mLであり、後腹膜腔に癒着を認め剥離を要するも、拡大膀胱や腸管を損傷することなく右腸骨窩を展開可能だった。グラフト腎動脈を内腸骨動脈へ、グラフト腎静脈を外腸骨静脈へ吻合した。移植尿管は拡大膀胱に粘膜下トンネルを作成して吻合した。術後は尿道バルーンカテーテルを留置していたが、2週間目に抜去しCICを再開した。移植腎の経過は良好で、現在まで水腎症を認めずCr 0.8mg/dL程度で良好に推移している。膀胱拡大術後に腎移植を行った症例は比較的稀であり、文献的考察を加えて報告する。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s361_2