生体腎移植後にCOVID19に感染し腎機能低下を来した1例

【緒言】COVID-19感染症は2023年5月に2類から5類感染症へ変更となったが、その後も第9波が確認されている。この第9波時期に腎機能悪化を認めた生体腎移植後の症例を我々は経験した。【症例】40歳代、男性。間質性腎炎を原疾患とする末期腎不全に対して、実母をドナーとする血液型一致(抗ドナー抗体)の生体腎移植を4年前に施行し、Cr 2.1mg/dL前後で経過していた。定期受診の際、Cr 2.78mg/dLと腎機能悪化を認めたが発熱はなく、体調変化の訴えもなかった。エコーで移植腎の血流も以前と著変なかったが、即時腎生検は希望されず、14日後にCr 8.15mg/dLと急激な腎機能悪化認めた。緊急...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s363_3
Main Authors 関戸, 崇了, 西村, 慎吾, 山野井, 友昭, 河田, 達志, 岩田, 健宏, 荒木, 元朗, 竹内, 英実, 藤井, 孝法, 大西, 康博, 吉永, 香澄, 定平, 卓也, 田邊, 克幸, 富永, 悠介, 片山, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
Online AccessGet full text
ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s363_3

Cover

More Information
Summary:【緒言】COVID-19感染症は2023年5月に2類から5類感染症へ変更となったが、その後も第9波が確認されている。この第9波時期に腎機能悪化を認めた生体腎移植後の症例を我々は経験した。【症例】40歳代、男性。間質性腎炎を原疾患とする末期腎不全に対して、実母をドナーとする血液型一致(抗ドナー抗体)の生体腎移植を4年前に施行し、Cr 2.1mg/dL前後で経過していた。定期受診の際、Cr 2.78mg/dLと腎機能悪化を認めたが発熱はなく、体調変化の訴えもなかった。エコーで移植腎の血流も以前と著変なかったが、即時腎生検は希望されず、14日後にCr 8.15mg/dLと急激な腎機能悪化認めた。緊急生検目的に当日入院、全身スクリーニングCTにて肺野にすりガラス影を認め、SARS-CoV-2核酸検査で陽性が判明した。抗ウイルス薬としてモルヌピラビルを開始、MMFは中止した。その後Cr 9.4mg/dLまで上昇しHDを行った。生検では拒絶反応やBKvなどのウイルス腎症は否定的で、尿細管の脱落や空胞変化・増殖に見える部位が見られるが細胞浸潤がなく、間質の炎症も有意なものはなく、尿細管壊死の回復の途中を見ている可能性が推察された。COVID-19感染症が改善するとともにHD離脱、Cr 3.5mg/dLまで低下、12日目に退院となった。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s363_3