小腸移植におけるドナー由来cell free DNA解析
【目的】移植臓器のリアルタイムな評価としてドナー由来cell free DNA(cfDNA)を用いた解析手法が注目されているが、小腸移植での報告はない。我々は小腸移植におけるドナー由来cfDNA解析について報告する。【方法】本研究は多施設共同前向き観察研究であり、小腸移植を新規で受ける患者、既に受けた患者のうち、2019年4月以降、本研究に同意された方を対象とした。採血検体からcfDNAを抽出し、次世代シークエンサーを用いたSNP解析の手法をもとにドナー由来cfDNA比率を算定し、臨床経過・組織生検結果と比較した。【結果】新規移植群6例(当院2、他院4)、既往移植群6例(当院5、他院1)が登録...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s345_2 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s345_2 |
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Summary: | 【目的】移植臓器のリアルタイムな評価としてドナー由来cell free DNA(cfDNA)を用いた解析手法が注目されているが、小腸移植での報告はない。我々は小腸移植におけるドナー由来cfDNA解析について報告する。【方法】本研究は多施設共同前向き観察研究であり、小腸移植を新規で受ける患者、既に受けた患者のうち、2019年4月以降、本研究に同意された方を対象とした。採血検体からcfDNAを抽出し、次世代シークエンサーを用いたSNP解析の手法をもとにドナー由来cfDNA比率を算定し、臨床経過・組織生検結果と比較した。【結果】新規移植群6例(当院2、他院4)、既往移植群6例(当院5、他院1)が登録され、既に解析を行った新規移植群4例(サンプル総数 148)につき報告する。虚血再灌流障害による移植早期のドナー由来cfDNAの上昇は確認されたが、1.4 - 6.7%であり肝移植(81%, 10例)や腎移植(10%, 37例)と比較すると低値であった。また、移植後内視鏡的に拒絶反応が疑われた症例では上昇が確認でき、治療後の低下も確認できた。一方で、小腸粘膜の肉眼的変化や、陰窩のアポトーシス所見との乖離を認めた症例もあった。【考察】臓器特異的な血清バイオマーカーがない小腸移植では、内視鏡生検による拒絶診断が主流であるが、明確な基準はない。ドナー由来cfDNAは小腸移植でもグラフト機能評価に有用となる可能性が示唆されるが今後さらなる症例蓄積が必要である。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s345_2 |