基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌による市中発症髄膜炎の1高齢者例

症例は72歳女性である.糖尿病加療中であった.腰痛,発熱が出現,その後意識障害をきたし来院した.急性腎盂腎炎をみとめ,頭部MRIで側脳室後角に炎症性浸出物によると思われるニボー形成が,髄液検査で多核球優位の細胞数増多がみられ,細菌性髄膜炎と診断した.メロペネム,セフトリアキソン,バンコマイシンを投与していたが,尿・血液培養からESBL産生大腸菌が検出され,メロペネム,ゲンタマイシン静注およびゲンタマイシン髄注に変更した.神経症候は改善傾向であったが,脊椎炎の合併が判明,レボフロキサシンに変更したところ,炎症所見は改善した.ESBL産生大腸菌は,市中発症髄膜炎ではまれであるが,原因菌として念頭に...

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Published in臨床神経学 Vol. 52; no. 1; pp. 12 - 18
Main Authors 村瀬, 翔, 大坪, 亮一, 中澤, 健一郎, 原, 斉, 朴, 貴瑛, 権, 泰史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2012
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.52.12

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Summary:症例は72歳女性である.糖尿病加療中であった.腰痛,発熱が出現,その後意識障害をきたし来院した.急性腎盂腎炎をみとめ,頭部MRIで側脳室後角に炎症性浸出物によると思われるニボー形成が,髄液検査で多核球優位の細胞数増多がみられ,細菌性髄膜炎と診断した.メロペネム,セフトリアキソン,バンコマイシンを投与していたが,尿・血液培養からESBL産生大腸菌が検出され,メロペネム,ゲンタマイシン静注およびゲンタマイシン髄注に変更した.神経症候は改善傾向であったが,脊椎炎の合併が判明,レボフロキサシンに変更したところ,炎症所見は改善した.ESBL産生大腸菌は,市中発症髄膜炎ではまれであるが,原因菌として念頭に置く必要があると考えられた.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.52.12