Aztreonaiの母児間移行に関する薬動力学的検討
Aztreonai (AZT) の産婦人科周産期領域における有用性と安全性の一端を評価する目的で本剤を73症例に投与し母体血清中, 膀帯血清中並びに羊水中への移行性について検討し, 次の結果を得た。 1. AZT19をOne shot静注投与して得られた実測値及び理論値の経時的濃度推移を検討した結果, 母体血清中濃度は投与直後に最高値を示した後, 時間経過と共に漸減し, 臍帯血清中濃度は母体血清中濃度にやや遅れて母体血清中濃度に比べて低い最高値を形成した後, 時間経過と共に減少するが, その減少度は母体血清中濃度に比べて緩やかで理論値では投与後2.23時間又は2.24時間以後は母体血清中濃度を...
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| Published in | The Japanese Journal of Antibiotics Vol. 43; no. 1; pp. 70 - 80 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
1990
|
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0368-2781 2186-5477 |
| DOI | 10.11553/antibiotics1968b.43.70 |
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| Abstract | Aztreonai (AZT) の産婦人科周産期領域における有用性と安全性の一端を評価する目的で本剤を73症例に投与し母体血清中, 膀帯血清中並びに羊水中への移行性について検討し, 次の結果を得た。 1. AZT19をOne shot静注投与して得られた実測値及び理論値の経時的濃度推移を検討した結果, 母体血清中濃度は投与直後に最高値を示した後, 時間経過と共に漸減し, 臍帯血清中濃度は母体血清中濃度にやや遅れて母体血清中濃度に比べて低い最高値を形成した後, 時間経過と共に減少するが, その減少度は母体血清中濃度に比べて緩やかで理論値では投与後2.23時間又は2.24時間以後は母体血清中濃度を上回る濃度で推移した。羊水中濃度は投与後徐々に上昇し投与後1.68時間, 1.73時間で臍帯血清中濃度を, 投与後1.82時間, 1.85時間で母体血清中濃度を上回る濃度を示した以後に最高値を形成した。その後羊水中では高濃度が長期間にわたって維持していた。この結果, 本剤は羊水感染の予防や治療に有用であることが示唆された。 2.実測値に基づいてTwo-compartment open modelとThree-compartment open modelに適応して理論値を解析し各Parameterを比較した結果, 母体血清中濃度及び臍帯血清中濃度のT1/2はそれぞれ1.29時間, 1.29時間, 2.14時間, 2.00時間を, Cmaxは187.09μg/ml, 184.15μg/ml, 30.63μg/ml, 30.66μg/mlを, AUCは153.25μg・hr/ml,153.40μg.hr/ml, 123.19μg・hr/ml, 123.09μg・hr/mlと近似した数値を示した。羊水中濃度ではCiaxが47.08μg/ml, 47.74μg/ml, AUCが948.03μg・hr/ml, 1,028.70μg・hr/mlと近似した数値を示した。しかし臍帯血と羊水の分布容量はModelの違いによって差が認められた。 3.以上の結果から薬剤の母児移行についてT1/2, Cmax, AUC値だけを求める場合はTwo-compartment open modelだけの適応で解析が可能であると考えられた。 4.本剤投与を行った全症例は母児共に自他覚的な副作用や臨床検査値異常の発現は認められなかった。 |
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| AbstractList | Aztreonai (AZT) の産婦人科周産期領域における有用性と安全性の一端を評価する目的で本剤を73症例に投与し母体血清中, 膀帯血清中並びに羊水中への移行性について検討し, 次の結果を得た。 1. AZT19をOne shot静注投与して得られた実測値及び理論値の経時的濃度推移を検討した結果, 母体血清中濃度は投与直後に最高値を示した後, 時間経過と共に漸減し, 臍帯血清中濃度は母体血清中濃度にやや遅れて母体血清中濃度に比べて低い最高値を形成した後, 時間経過と共に減少するが, その減少度は母体血清中濃度に比べて緩やかで理論値では投与後2.23時間又は2.24時間以後は母体血清中濃度を上回る濃度で推移した。羊水中濃度は投与後徐々に上昇し投与後1.68時間, 1.73時間で臍帯血清中濃度を, 投与後1.82時間, 1.85時間で母体血清中濃度を上回る濃度を示した以後に最高値を形成した。その後羊水中では高濃度が長期間にわたって維持していた。この結果, 本剤は羊水感染の予防や治療に有用であることが示唆された。 2.実測値に基づいてTwo-compartment open modelとThree-compartment open modelに適応して理論値を解析し各Parameterを比較した結果, 母体血清中濃度及び臍帯血清中濃度のT1/2はそれぞれ1.29時間, 1.29時間, 2.14時間, 2.00時間を, Cmaxは187.09μg/ml, 184.15μg/ml, 30.63μg/ml, 30.66μg/mlを, AUCは153.25μg・hr/ml,153.40μg.hr/ml, 123.19μg・hr/ml, 123.09μg・hr/mlと近似した数値を示した。羊水中濃度ではCiaxが47.08μg/ml, 47.74μg/ml, AUCが948.03μg・hr/ml, 1,028.70μg・hr/mlと近似した数値を示した。しかし臍帯血と羊水の分布容量はModelの違いによって差が認められた。 3.以上の結果から薬剤の母児移行についてT1/2, Cmax, AUC値だけを求める場合はTwo-compartment open modelだけの適応で解析が可能であると考えられた。 4.本剤投与を行った全症例は母児共に自他覚的な副作用や臨床検査値異常の発現は認められなかった。 |
| Author | 林, 茂興 林, 茂一郎 大和, 竜夫 小幡, 功 今川, 信行 |
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| Copyright | 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 |
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| DOI | 10.11553/antibiotics1968b.43.70 |
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| Discipline | Pharmacy, Therapeutics, & Pharmacology |
| EISSN | 2186-5477 |
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| PublicationDecade | 1990 |
| PublicationTitle | The Japanese Journal of Antibiotics |
| PublicationTitleAlternate | Jpn. J. Antibiotics |
| PublicationYear | 1990 |
| Publisher | 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 |
| Publisher_xml | – name: 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 |
| References | 1) 高瀬善次郎, 藤原道久, 白藤博子, 清水哲也, 芳賀宏光, 桜庭衡, 山下幸紀, 石川睦男, 鳥居豊, 溝口久富, 山崎知文, 萬豊, 牟礼一秀, 浅川竹仁, 長谷川天沫, 千石一雄, 相馬彰, 斎藤聡史, 笠茂光範 森本紀, 蜂屋祥一, 我妻尭, 箕浦茂樹, 関賢一, 中村英世, 岩田嘉行, 林茂, 上石光, 松波和寿, 早崎源基, 野田克己, 八神喜昭, 花田征治, 池内政弘, 大嶋勉, 中谷剛彬, 二宮敬宇, 大林太, 長谷川幸生, 潮田悦男, 飯岡秀晃, 島本郁子, 一條元彦, 岡田弘二, 山元貴雄, 保田仁介, 金尾昌明, 須川借, 梅咲直彦, 山本久美夫, 清水錫萬, 浜田和孝, 田中文平, 恩田博, 田村俊次, 野田起一郎, 堀井高久, 藤原篤, 占部武, 木阪義憲, 土光文夫, 本郷基弘, 清水礼子, 栄勝美, 高知利勝, 多田克彦, 安藤正明, 平林光司, 岡田悦子, 前田一雄, 伊藤隆志, 鳥越正, 高杉信義, 圓谷一雄, 右田満明, 豊島博幸, 伊東忠一郎, 白川光一, 松本伸一郎, 藤本宣, 篠田あつ子, 服巻由紀子, 加藤俊, 梅津純也, 河野勝一, 畑瀬哲郎, 片渕秀樹, 高村慎一, 久保田健二, 永田行博, 山田栄一郎, 上田哲平, 伊集院秀明, 森憲正, 宮川勇生, 小林裕, 春田恒和, 出口浩一: Aztreonamの産婦人科領域における基礎的・臨床的検討.産婦人科の世界37: 1303-1318, 1985 7) 山元貴雄, 保田仁介, 金尾昌明, 岡田弘二, 尾熊隆嘉, 山田秀雄: Latamoxefの母児問移行性に関する薬物速度論的解析.Chemotherapy 33: 696-703, 1985 5) 山元貴雄, 保田仁介, 金尾昌明, 岡田弘二: 産婦人科周産期領域におけるLatamoxefの基礎的・臨床的研究.Jap.J. Antibiotics 36: 2423-2430, 1983 6) 山元貴雄, 保田仁介, 金尾昌明, 岡田弘二: 産婦人科周産期領域におけるCefotiamの基礎的, 臨床的研究.Jap.J.Antibiotics 39: 2525-2533, 1986 2) 小幡功, 林福勝, 今川信行, 落合和彦, 小池清彦, 森本紀, 蜂屋祥一: 産婦人科領域におけるAztre-onamの基礎的・臨床的検討.Jap.J.Antibiotics 38: 3542-3560, 1985 3) NELDER, J.A.&R.MEAD: A simplex method for fuction minization: Comput. J.7: 308-315, 1965 4) 松田静治: 羊水と感染.感染羊水からの分離菌と羊水中の抗生剤の抗菌力.産科と婦人科4: 643-646, 1986 |
| References_xml | – reference: 1) 高瀬善次郎, 藤原道久, 白藤博子, 清水哲也, 芳賀宏光, 桜庭衡, 山下幸紀, 石川睦男, 鳥居豊, 溝口久富, 山崎知文, 萬豊, 牟礼一秀, 浅川竹仁, 長谷川天沫, 千石一雄, 相馬彰, 斎藤聡史, 笠茂光範 森本紀, 蜂屋祥一, 我妻尭, 箕浦茂樹, 関賢一, 中村英世, 岩田嘉行, 林茂, 上石光, 松波和寿, 早崎源基, 野田克己, 八神喜昭, 花田征治, 池内政弘, 大嶋勉, 中谷剛彬, 二宮敬宇, 大林太, 長谷川幸生, 潮田悦男, 飯岡秀晃, 島本郁子, 一條元彦, 岡田弘二, 山元貴雄, 保田仁介, 金尾昌明, 須川借, 梅咲直彦, 山本久美夫, 清水錫萬, 浜田和孝, 田中文平, 恩田博, 田村俊次, 野田起一郎, 堀井高久, 藤原篤, 占部武, 木阪義憲, 土光文夫, 本郷基弘, 清水礼子, 栄勝美, 高知利勝, 多田克彦, 安藤正明, 平林光司, 岡田悦子, 前田一雄, 伊藤隆志, 鳥越正, 高杉信義, 圓谷一雄, 右田満明, 豊島博幸, 伊東忠一郎, 白川光一, 松本伸一郎, 藤本宣, 篠田あつ子, 服巻由紀子, 加藤俊, 梅津純也, 河野勝一, 畑瀬哲郎, 片渕秀樹, 高村慎一, 久保田健二, 永田行博, 山田栄一郎, 上田哲平, 伊集院秀明, 森憲正, 宮川勇生, 小林裕, 春田恒和, 出口浩一: Aztreonamの産婦人科領域における基礎的・臨床的検討.産婦人科の世界37: 1303-1318, 1985 – reference: 7) 山元貴雄, 保田仁介, 金尾昌明, 岡田弘二, 尾熊隆嘉, 山田秀雄: Latamoxefの母児問移行性に関する薬物速度論的解析.Chemotherapy 33: 696-703, 1985 – reference: 3) NELDER, J.A.&R.MEAD: A simplex method for fuction minization: Comput. J.7: 308-315, 1965 – reference: 2) 小幡功, 林福勝, 今川信行, 落合和彦, 小池清彦, 森本紀, 蜂屋祥一: 産婦人科領域におけるAztre-onamの基礎的・臨床的検討.Jap.J.Antibiotics 38: 3542-3560, 1985 – reference: 5) 山元貴雄, 保田仁介, 金尾昌明, 岡田弘二: 産婦人科周産期領域におけるLatamoxefの基礎的・臨床的研究.Jap.J. Antibiotics 36: 2423-2430, 1983 – reference: 6) 山元貴雄, 保田仁介, 金尾昌明, 岡田弘二: 産婦人科周産期領域におけるCefotiamの基礎的, 臨床的研究.Jap.J.Antibiotics 39: 2525-2533, 1986 – reference: 4) 松田静治: 羊水と感染.感染羊水からの分離菌と羊水中の抗生剤の抗菌力.産科と婦人科4: 643-646, 1986 |
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| SourceType | Publisher |
| StartPage | 70 |
| Title | Aztreonaiの母児間移行に関する薬動力学的検討 |
| URI | https://www.jstage.jst.go.jp/article/antibiotics1968b/43/1/43_70/_article/-char/ja |
| Volume | 43 |
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| ispartofPNX | The Japanese Journal of Antibiotics, 1990/01/25, Vol.43(1), pp.70-80 |
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