機械学習を用いたRNA velocity解析と細胞間相互作用ネットワーク推定によるヒト間葉系幹細胞の免疫抑制メカニズムの解明

我々は膵島移植普及のために膵島移植後の免疫応答機能解析と免疫制御法の確立を目指し、免疫抑制作用を有する間葉系幹細胞(MSC)のなかでもより高い機能特性を有するヒト脱落乳歯歯髄幹細胞(SHED)の研究をしている。SHEDが有する細胞増殖抑制効果・細胞傷害活性抑制効果は、抑制因子であるPGE2、IDO、TGF-βの有意な産生増加やPDL1発現に伴う細胞死誘導が要因であることを証明した。しかしながら、SHEDのheterogeneityな性質から従来のフローサイトメトリーやELISAなどの古典的手法だけでは、標的細胞の予測や抑制機能に関わる新規分子についての解析に限界がある。そこで、ナイーブSHED...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s214_2
Main Authors 三輪, 祐子, 石山, 宏平, 加藤, 誠, 恒川, 新, 神谷, 英紀, 小林, 孝彰, 岩崎, 研太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s214_2

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Summary:我々は膵島移植普及のために膵島移植後の免疫応答機能解析と免疫制御法の確立を目指し、免疫抑制作用を有する間葉系幹細胞(MSC)のなかでもより高い機能特性を有するヒト脱落乳歯歯髄幹細胞(SHED)の研究をしている。SHEDが有する細胞増殖抑制効果・細胞傷害活性抑制効果は、抑制因子であるPGE2、IDO、TGF-βの有意な産生増加やPDL1発現に伴う細胞死誘導が要因であることを証明した。しかしながら、SHEDのheterogeneityな性質から従来のフローサイトメトリーやELISAなどの古典的手法だけでは、標的細胞の予測や抑制機能に関わる新規分子についての解析に限界がある。そこで、ナイーブSHEDとサイトカイン刺激した活性化SHEDのシングルセル解析を行った。RNA velocityを利用した細胞状態遷移モデリングによるterminal推定では、活性化SHEDは抑制性液性因子を高発現する集団と細胞接触を必要とする集団で構成されていることが判明した。更に、ヒトPBMCとデータ統合した後に、テンソル解析と機械学習アルゴリズムを用いて細胞間相互作用推定モデルを構築したところ初期免疫系細胞群との強い相互作用が認められた。この結果から、動物実験同様にヒト膵島移植においても初期免疫応答の制御が重要であることが示唆された。また、新規免疫制御因子としてIL24を同定した。貴重なサンプルをシングルセル解析が行えるようにデータベース化しておくことで、新規機能解析が簡便に行えることが期待される。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s214_2