フランドル地方の中世装飾写本の微小部蛍光X線元素イメージング

絵画等の歴史的に重要な文化財の保存・修復の調査には文化財の構造・元素組成分析が必要とされる.しかし,文化財などの試料は貴重であるためその分析を非破壊で行わなければならない場合がほとんどである.本研究で対象としたフランドル地方の中世装飾写本も歴史的に重要な試料である.そこで,蛍光X線分析による非破壊的な定性・定量分析が用いられている.特に絵画などの試料には,X線管と試料の間にキャピラリーレンズを取り付け2次元の元素分布像を取得することができる微小部蛍光X線分析法という方法が用いられ,各顔料の特定等に役立っている.本研究では,X線管と検出器にキャピラリーレンズを取り付け試料の深さ方向の元素分布情報...

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Published in分析化学 Vol. 74; no. 4.5; pp. 183 - 191
Main Authors 藤井, 蓮唯羅, 松山, 嗣史, 西, 偉眞, 辻, 幸一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.04.2025
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.74.183

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Summary:絵画等の歴史的に重要な文化財の保存・修復の調査には文化財の構造・元素組成分析が必要とされる.しかし,文化財などの試料は貴重であるためその分析を非破壊で行わなければならない場合がほとんどである.本研究で対象としたフランドル地方の中世装飾写本も歴史的に重要な試料である.そこで,蛍光X線分析による非破壊的な定性・定量分析が用いられている.特に絵画などの試料には,X線管と試料の間にキャピラリーレンズを取り付け2次元の元素分布像を取得することができる微小部蛍光X線分析法という方法が用いられ,各顔料の特定等に役立っている.本研究では,X線管と検出器にキャピラリーレンズを取り付け試料の深さ方向の元素分布情報を取得可能である共焦点微小部蛍光X線分析法をフランドル地方の中世装飾写本試料の分析に適用し,使用された顔料の重なり方に関する考察を行う事を目的とし研究行った.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.74.183