片側性唇顎口蓋裂における急速拡大装置にアタッチメント義歯を組み込んだ一症例について

成人唇顎口蓋裂患者において, 通常の矯正治療または補綴処置ではその機能ならびに審美性の改善が困難な場合, 外科的矯正法が有効であることが多い. このような外科的矯正処置による治療効果を上げるためには, 診断の時点より, 術前矯正, 外科処置, 術後処置ならびに最終的な補綴処置を一貫したものとして考え, 互いに緊密な連絡をとって行う, いわゆるチームアプローチが必要であることは言うまでもない. ところで, 症例によっては, 複数回の手術を要し, 最終的な補綴による固定までに長期間を要する場合も起ってくる.そのような場合, 審美性の点ばかりでなく, 機能的な面, 患者の心理的な安定の問題などからも...

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Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 7; no. 2; pp. 223 - 230
Main Authors 奥野, 善彦, 宮崎, 正, 前田, 芳信, 西尾, 順太郎, 吉田, 建美, 岡田, 政俊, 前田, 早智子, 作田, 守
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 1982
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate1976.7.2_223

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Summary:成人唇顎口蓋裂患者において, 通常の矯正治療または補綴処置ではその機能ならびに審美性の改善が困難な場合, 外科的矯正法が有効であることが多い. このような外科的矯正処置による治療効果を上げるためには, 診断の時点より, 術前矯正, 外科処置, 術後処置ならびに最終的な補綴処置を一貫したものとして考え, 互いに緊密な連絡をとって行う, いわゆるチームアプローチが必要であることは言うまでもない. ところで, 症例によっては, 複数回の手術を要し, 最終的な補綴による固定までに長期間を要する場合も起ってくる.そのような場合, 審美性の点ばかりでなく, 機能的な面, 患者の心理的な安定の問題などからも暫間的な補綴物が必要となってくる. しかし, その暫間補綴物は, 十分な維持と安定を有しながら, 構造が簡単で術後の口腔内環境をあまり変化させないものが望ましく, 患者自身による管理もしやすいものがよいと考えられる. そこで今回, 片側性唇顎口蓋裂を有する症例において, 外科的矯正処置による治療を試み, その際複数回の手術を要した症例において, 矯正治療による拡大後の保定装置を利用してアタッチメント(CM-Riderattachment)を応用した暫間義歯を作製した.その結果, 十分な維持力と安定性を得たばかりでなく, 審美性, 機能の面においても満足のゆく結果が得られた.
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate1976.7.2_223