5カ月間のインターバル速歩トレーニングが高齢者の下肢筋力に及ぼす影響

目的:本研究では,高齢者を対象とした5カ月間のインターバル速歩トレーニング(IWT)を実施し,下肢の筋力および血圧の1カ月ごとの経時変化から高齢者におけるIWTの効果について検討をした.方法:被験者として48名の高齢者(男性14名,女性34名,平均年齢:70±5歳)が参加し,個別運動処方システムを用いた5カ月間のIWTを実施した.被験者は,介入前後に最高酸素摂取量(VO2peak)の測定を行い,さらにトレーニング開始から1カ月ごとに膝関節伸展・屈曲筋力および安静時の血圧を測定した.結果:5カ月間のIWT介入によりVO2peak(介入前:20.0±3.2 ml/min/kg,介入後:21.3±3...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 62; no. 2; pp. 206 - 211
Main Authors 林, 武文, 小田, 伸午, 金谷, 和幸, 河端, 隆志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 25.04.2025
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.62.206

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Summary:目的:本研究では,高齢者を対象とした5カ月間のインターバル速歩トレーニング(IWT)を実施し,下肢の筋力および血圧の1カ月ごとの経時変化から高齢者におけるIWTの効果について検討をした.方法:被験者として48名の高齢者(男性14名,女性34名,平均年齢:70±5歳)が参加し,個別運動処方システムを用いた5カ月間のIWTを実施した.被験者は,介入前後に最高酸素摂取量(VO2peak)の測定を行い,さらにトレーニング開始から1カ月ごとに膝関節伸展・屈曲筋力および安静時の血圧を測定した.結果:5カ月間のIWT介入によりVO2peak(介入前:20.0±3.2 ml/min/kg,介入後:21.3±3.9 ml/min/kg)の有意な増加が認められた.膝関節の伸展・屈曲筋力においても,伸展筋力(介入前:20.6±6.4 kgf,介入後:27.2±9.3 kgf)および屈曲筋力(介入前:12.7±4.5 kg,介入後:14.7±5.2 kgf)で有意な増加を示した.膝伸展筋力については3カ月目まで月ごとに有意に増加し,その後プラトーとなった.膝屈曲筋力は,2カ月目まで有意に増加し,3カ月目以降プラトーとなった.安静時の血圧については,収縮期血圧で介入後2カ月目以降有意に減少がみられ,拡張期血圧では介入前と比較し5カ月目で有意に減少した.結論:5カ月間のIWTにより,VO2peakの増加による体力の向上,下肢筋力の増加,さらには安静時血圧の改善が認められた.しかし,伸展筋力および屈曲筋力に有意な増加が認められるも,4カ月後にはプラトーを示した.これらの結果から,より効果的に体力を維持・向上させるためには,VO2peakの測定を3カ月ごとに行い,適切な運動プログラムに調整する必要があることが示唆された.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.62.206