新型コロナウイルス禍による急激なメディア授業化が大学生(大学院生)の学習意欲等に及ぼしている影響

2020年1月から突如始まった新型コロナウイルスのパンデミック感染により我が国の大学生の教育が対面授業中心から一挙に各種メディア授業に急遽変更した。これによりメディア授業がどのように大学生の学習意欲の減退或いは高揚に繋がっているかをWeb調査会社 (メルリンクス社)の全国モニター413名で調査した。調査法はリッカート尺度の結果を用いた二値ロジスティック回帰分析等による計量分析と自由記載のKH Coderを用いた共起ネットワーク分析による質的分析を併用した。その結果、計量分析では学習意欲が大幅に減退した学生が8.2%、ある程度減退したが41.6%であり、逆に学習意欲が高揚したが11.3%であった...

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Published in新潟医療福祉学会誌 Vol. 22; no. 2; pp. 7 - 18
Main Authors 瀧口, 徹, 皆川, 璃子, 柴山, 純一, 前田, 理歩, 木下, 直彦, 高野, 晃輔, 鈴木, 健司, 石上, 和男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 新潟医療福祉学会 2022
Subjects
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ISSN1346-8774
2435-9777
DOI10.34540/niigatajohewewa.22.2_7

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Summary:2020年1月から突如始まった新型コロナウイルスのパンデミック感染により我が国の大学生の教育が対面授業中心から一挙に各種メディア授業に急遽変更した。これによりメディア授業がどのように大学生の学習意欲の減退或いは高揚に繋がっているかをWeb調査会社 (メルリンクス社)の全国モニター413名で調査した。調査法はリッカート尺度の結果を用いた二値ロジスティック回帰分析等による計量分析と自由記載のKH Coderを用いた共起ネットワーク分析による質的分析を併用した。その結果、計量分析では学習意欲が大幅に減退した学生が8.2%、ある程度減退したが41.6%であり、逆に学習意欲が高揚したが11.3%であった。学年が低いと、あるいは重大な通信障害が頻繁に起こると学習意欲の減退を引き起こしやすいことが明らかになった。加えて、質的分析では文脈の解析から学生の様々な反応が明らかにされた。学生はメディア授業では通学が不要になったので時間的余裕ができた点、教材動画を繰り返し見ることができる点、周囲に気を使わないで済むなどの諸点を肯定的に捉えていた。その反面、学友との関係の疎遠化等が学習意欲の減退を招くことや不適切な姿勢で長時間PC画面を見続けることによって生じる学生のVDT症候群等について配慮が必要なことが明らかになった。これらの結果から今後教員は新型コロナウイルス感染症対策を前提として、学生の学習意欲と学習効果に配慮した各種メディア授業の質の向上と従来の対面授業との適切な組合せを図ることが重要であることが示された。
ISSN:1346-8774
2435-9777
DOI:10.34540/niigatajohewewa.22.2_7