下顎枝矢状分割術後に発現した末梢性顔面神経麻痺の1例

「緒言」下顎枝矢状分割術は外科的矯正手術法の中で, 現在最も一般的な方法として広く用いられている. その術式はすでに一定の評価を得ており, 比較的安全な手術法とされ, 下歯槽神経を除く神経損傷の報告例はほとんどみられない. 今回われわれは, 両側性口唇口蓋裂術後にみられた前歯部開咬を伴う下顎前突症の男性に両側下顎枝矢状分割術を施行し, 術後に左側末梢性顔面神経麻痺が出現した症例を経験したので, その経過の概要を報告し, 発症のメカニズムについて考察した. 「症例」患者:20歳, 男性初診日:昭和58年8月31日主訴:口唇鼻翼部の審美障害家族歴:特記すべき事項なし既往歴:特記すべき事項なし現病歴...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 3; no. 1; pp. 47 - 51
Main Authors 早川, 明宏, 足立, 守安, 中山, 和久, 高井, 克憙, 吉田, 憲司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 1993
日本顎変形症学会
Subjects
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd1991.3.47

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Summary:「緒言」下顎枝矢状分割術は外科的矯正手術法の中で, 現在最も一般的な方法として広く用いられている. その術式はすでに一定の評価を得ており, 比較的安全な手術法とされ, 下歯槽神経を除く神経損傷の報告例はほとんどみられない. 今回われわれは, 両側性口唇口蓋裂術後にみられた前歯部開咬を伴う下顎前突症の男性に両側下顎枝矢状分割術を施行し, 術後に左側末梢性顔面神経麻痺が出現した症例を経験したので, その経過の概要を報告し, 発症のメカニズムについて考察した. 「症例」患者:20歳, 男性初診日:昭和58年8月31日主訴:口唇鼻翼部の審美障害家族歴:特記すべき事項なし既往歴:特記すべき事項なし現病歴:口唇口蓋裂のため某院にて生後3ケ月で口唇形成術, 1年6ヵ月で口蓋形成術を受けた. その後言語治療のほかには特に処置は受けなかったが, 最近, 口唇鼻翼部の再形成を希望して当院に来院した. 現症:初診時の顔貌は, 両側性口唇裂術後の瘢痕を認め, 体格は中等度であった. 局所所見はセファログラム分析により, 上顎骨の劣成長に伴う下顎前突症を認めた.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd1991.3.47