外歯瘻の画像診断

外歯瘻は, 歯性感染による化膿性炎から生じた瘻が顎骨や皮下組織を経て, 口腔外に開口するものであり, 原因歯は上顎より下顎に多いとされる. 瘻孔を形成する部位は頬部が最も多く, 咬筋の前縁で下顎下縁の1cm上方に位置しやすいといわれている(Figure1)1. また, 外歯瘻は皮膚に瘻孔を形成するため, 患者が皮膚科や外科を受診する機会が多いことや, 強い痛みを伴うことが少ないため, 経過が長く, 歯科的な処置が遅れることもある2-4. 瘻孔形成部位の違いには, 原因歯の位置や歯根の長さ, 周囲筋肉の付着位置や厚さ, 皮下組織の皺疎性, 感染の強さ, 皮質骨の厚さ, 重力の影響などが関連すると...

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Published in歯科放射線 Vol. 43; no. 1; pp. 7 - 16
Main Authors 吉田, 和史, 有地, 淑子, 勝又, 明敏, 小林, 馨, 大林, 修文, 後藤, 真一, 泉, 雅浩, 内藤, 宗孝, 栗田, 賢一, 下郷, 和雄, 有地, 榮一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会 30.03.2003
日本歯科放射線学会
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Summary:外歯瘻は, 歯性感染による化膿性炎から生じた瘻が顎骨や皮下組織を経て, 口腔外に開口するものであり, 原因歯は上顎より下顎に多いとされる. 瘻孔を形成する部位は頬部が最も多く, 咬筋の前縁で下顎下縁の1cm上方に位置しやすいといわれている(Figure1)1. また, 外歯瘻は皮膚に瘻孔を形成するため, 患者が皮膚科や外科を受診する機会が多いことや, 強い痛みを伴うことが少ないため, 経過が長く, 歯科的な処置が遅れることもある2-4. 瘻孔形成部位の違いには, 原因歯の位置や歯根の長さ, 周囲筋肉の付着位置や厚さ, 皮下組織の皺疎性, 感染の強さ, 皮質骨の厚さ, 重力の影響などが関連するとされている5. 瘻孔形成部位が原因歯と関係することは従来の報告でも証明されており6-11, 顔面表情筋や咀嚼筋とその顎骨への付着部などの解剖学的構造が瘻孔の形成部位を規定する一因と推察されている. しかし, 表情筋や咀嚼筋の存在が瘻孔形成部位にどのような影響を与えるかを画像的に分析, 検討した研究はない. Bodnerらは外歯瘻の診断におけるCTの有用性を述べており12, デンタルCTソフトウェアを用いると皮質骨断裂の描出が良くなるとしているが, 筋肉や周囲軟組織については言及していない.
ISSN:0389-9705
2185-6311
DOI:10.11242/dentalradiology1960.43.7