HEART's Original [症例] 症例冠静脈洞に迷入した植込み型中心静脈カテーテルを経皮経静脈的に回収した1例

症例は65歳,男性.直腸癌手術後の胸壁転移および癌性胸膜炎併発に対する化学療法のため2006年2月6日植込み型中心静脈カテーテルを右鎖骨下静脈穿刺にて留置した.2006年4月28日薬液注入時に右.ヒ胸部違和感を自覚し同部の腫脹を認めた.胸部単純X線にて中心静脈カテーテルの鎖骨下での離断を確認し,胸部CTにて離断したカテーテルの両断端が冠静脈洞から右心室にかけて止まっている所見を得た.右大腿静脈に8Frシースイントロデューサーを挿入し離断カテーテルの経皮経静脈的回収を行った.右心室内の断端をビッグテールカテーテルを用いて右心房内へ移動させた.フック型カテーテルを用いて右心房内の断端を下大静脈へ引...

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Published in心臓 Vol. 38; no. 10; pp. 1032 - 1035
Main Authors 関口, 洋平, 小松, 義和, 小林, 良充, 浅島, 弘志, 斉藤, 高彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2006
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Summary:症例は65歳,男性.直腸癌手術後の胸壁転移および癌性胸膜炎併発に対する化学療法のため2006年2月6日植込み型中心静脈カテーテルを右鎖骨下静脈穿刺にて留置した.2006年4月28日薬液注入時に右.ヒ胸部違和感を自覚し同部の腫脹を認めた.胸部単純X線にて中心静脈カテーテルの鎖骨下での離断を確認し,胸部CTにて離断したカテーテルの両断端が冠静脈洞から右心室にかけて止まっている所見を得た.右大腿静脈に8Frシースイントロデューサーを挿入し離断カテーテルの経皮経静脈的回収を行った.右心室内の断端をビッグテールカテーテルを用いて右心房内へ移動させた.フック型カテーテルを用いて右心房内の断端を下大静脈へ引き込むことにより離断カテーテル両断端が右心房内および下大静脈内へ移動した.下大静脈内の断端をバスケット型把持鉗子を用いて捕捉し体外へ回収した.離断した植込み型中心静脈カテーテルが心腔内に残存する例は散見されるが,冠静脈洞内に認めた例はこれまで報告されてない.今回われわれは,冠静脈洞に迷入した離断中心静脈カテーテルを経皮経静脈的に回収した1例を経験したので報告する.心血管腔内遺残カテーテルの回収では,各種手法を用いてカテーテル断端を移動させ,回収しやすい状況をつくることが肝要であると思われる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.38.10_1032