症例 僧帽弁形成術後に著明な赤血球破砕症候群を認めた1症例

僧帽弁逸脱症候群(MVP)に対しCarpentier'sringを用いた弁輪形成術を行い,術直後より著明な溶血性貧血を認めた症例を経験した.症例は65歳男性.60歳時より心雑音を指摘されるも放置63歳時に心不全にて入院,心エコーにて腱索断裂によるMVPと診断,左室造影ではSellers分類III度の僧帽弁逆流(MR)を認めた.同年Carpentier's ringを用いた弁形成術を施行,術直後より貧血の進行とともに網赤血球数の増加,末梢血液中には破砕赤血球を多数認めた.その他間接ビリルビン,血清LDHの高値,血清ハプトグロビンの低値を認め溶血性貧血と診断.65歳時,貧血の進...

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Published in心臓 Vol. 25; no. 10; pp. 1203 - 1207
Main Authors 高橋, 敦, 近藤, 朗彦, 染谷, 一彦, 関口, 信哉, 斎藤, 宣彦, 名越, 温古, 川田, 忠典, 江口, 学, 須永, 達哉, 荻原, 真理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1993
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.25.10_1203

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Summary:僧帽弁逸脱症候群(MVP)に対しCarpentier'sringを用いた弁輪形成術を行い,術直後より著明な溶血性貧血を認めた症例を経験した.症例は65歳男性.60歳時より心雑音を指摘されるも放置63歳時に心不全にて入院,心エコーにて腱索断裂によるMVPと診断,左室造影ではSellers分類III度の僧帽弁逆流(MR)を認めた.同年Carpentier's ringを用いた弁形成術を施行,術直後より貧血の進行とともに網赤血球数の増加,末梢血液中には破砕赤血球を多数認めた.その他間接ビリルビン,血清LDHの高値,血清ハプトグロビンの低値を認め溶血性貧血と診断.65歳時,貧血の進行を認め再入院.経食道心エコーにて残存するMRの血流がCarpentier'sringに衝突している所見が得られ,これが機械的溶血の機序として考えられた.入院中の安静により貧血は安定し退院後の日常労作にて増悪する傾向が認められた.人工弁置換手術後の溶血性貧血はしばしぼ認められるが本症例のように弁形成術後に溶血性貧血をきたすことはまれであり報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.25.10_1203