最近10年間に経験した開放性鼻声を有する口蓋裂患者953症例の基本周波数について

開放性鼻声に対する音声言語学的研究は,共鳴周波数および音声の強さ,高さなど多面的に考えられなければならない.私達はそれらについて各研究を重ねて来たが,今回は音声の高さ(基本周波数)にっいて検討した. 最近10年間に当科を訪れた口蓋裂患者の中から無差別に選んだ4才から9才までの953症例および4才から6才の正常者56名を検査対象(被験者)とし,孤立的に発声された検査母音/a/および/i/についてsound spectrographによる周波数分析を行ない,その基本周波数を測定したところ,母音/a/および/i/共に開放性鼻声の程度と基本周波数との関係は認められなかった. しかし,開放性鼻声を有する...

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Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 3; no. 2; pp. 77 - 82
Main Authors 冨田, 陽二, 阿部, 本晴, 高井, 克悪, 深谷, 昌彦, 各務, 和宏, 渡辺, 幸, 山田, 史郎, 寺島, 良治, 内山, 観, 柘植, 佑好, 服部, 孝範, 河合, 幹, 児玉, 和子, 池畑, 正宏, 服部, 美知恵, 永井, 巌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 1978
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate1976.3.2_77

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Summary:開放性鼻声に対する音声言語学的研究は,共鳴周波数および音声の強さ,高さなど多面的に考えられなければならない.私達はそれらについて各研究を重ねて来たが,今回は音声の高さ(基本周波数)にっいて検討した. 最近10年間に当科を訪れた口蓋裂患者の中から無差別に選んだ4才から9才までの953症例および4才から6才の正常者56名を検査対象(被験者)とし,孤立的に発声された検査母音/a/および/i/についてsound spectrographによる周波数分析を行ない,その基本周波数を測定したところ,母音/a/および/i/共に開放性鼻声の程度と基本周波数との関係は認められなかった. しかし,開放性鼻声を有する患者の基本周波数と正常者の基本周波数との関係は,母音/a/においては存在しないが母音/i/についてのみ多少の差がみられた.
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate1976.3.2_77