症例 3組の一卵性双生児に起こった4例の先天性肺動脈狭窄症および閉鎖症症例の検討

3組の双生児における肺動脈狭窄症および肺動脈閉鎖症例を報告しその原因について考察した.2組は一卵性双生児の一方のみに起きた肺動脈弁狭窄症例で,あと1組は一卵性双生児の両者共に肺動脈弁閉鎖症を伴った症例であった.純型肺動脈弁狭窄症などの単純先天性心疾患では同一の遺伝子をもちながら表現形の変異がみられ,そのメカニズムとして遺伝と環境の両者が関与しているためと考えられる.すなわち,遺伝子要因は心臓の形態の細部までは規定しておらず,弁の裂開や中隔の閉鎖などは環境因子である圧や血流にかなり依存している可能性がある.一方肺動脈弁の異常が他系統の異常と複合している際は遺伝子における異常が直接表現形の異常に強...

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Published in心臓 Vol. 20; no. 11; pp. 1313 - 1316
Main Authors 谷口, 巌, 荒木, 威, 浅野, 孝治, 田部, 俊比古, 芦田, 泰之, 佐々木, 成一郎, 黒田, 弘明, 森, 透, 白石, 真博, 清水, 秀二, 上原, 美朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1988
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.20.11_1313

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Summary:3組の双生児における肺動脈狭窄症および肺動脈閉鎖症例を報告しその原因について考察した.2組は一卵性双生児の一方のみに起きた肺動脈弁狭窄症例で,あと1組は一卵性双生児の両者共に肺動脈弁閉鎖症を伴った症例であった.純型肺動脈弁狭窄症などの単純先天性心疾患では同一の遺伝子をもちながら表現形の変異がみられ,そのメカニズムとして遺伝と環境の両者が関与しているためと考えられる.すなわち,遺伝子要因は心臓の形態の細部までは規定しておらず,弁の裂開や中隔の閉鎖などは環境因子である圧や血流にかなり依存している可能性がある.一方肺動脈弁の異常が他系統の異常と複合している際は遺伝子における異常が直接表現形の異常に強く反映していると推察される.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.20.11_1313