症例 化膿性脊椎椎体炎を合併した感染性心内膜炎の1例

症例は72歳,男性.糖尿病がありインスリン療法を行っていた.1998年6月4日から発熱および上気道症状が出現し,引き続き背部痛も出現したため,当院に紹介入院となった.心エコー検査にて大動脈弁に可動性の疣贅が認められ,感染性心内膜炎と診断した.また,シンチグラフィーおよびMRI検査上,第9,10胸椎の化膿性脊椎椎体炎を合併していた.血液培養を繰り返したが,起因菌は同定できなかった.抗生薬投与を行い,その後,偽膜性腸炎を合併したが,塩酸バンコマイシンの投与にて改善した.心エコー検査上疣贅の大きさは不変であったが可動性は減弱し,大動脈弁逆流は軽度であり,退院となった.現在,再燃はなく順調に経過してい...

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Published in心臓 Vol. 31; no. 11; pp. 770 - 776
Main Authors 岡, 俊明, 岡田, 尚之, 吉岡, 佐知子, 加藤, 丈二, 遠田, 賢治, 小金井, 博士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1999
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.31.11_770

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Summary:症例は72歳,男性.糖尿病がありインスリン療法を行っていた.1998年6月4日から発熱および上気道症状が出現し,引き続き背部痛も出現したため,当院に紹介入院となった.心エコー検査にて大動脈弁に可動性の疣贅が認められ,感染性心内膜炎と診断した.また,シンチグラフィーおよびMRI検査上,第9,10胸椎の化膿性脊椎椎体炎を合併していた.血液培養を繰り返したが,起因菌は同定できなかった.抗生薬投与を行い,その後,偽膜性腸炎を合併したが,塩酸バンコマイシンの投与にて改善した.心エコー検査上疣贅の大きさは不変であったが可動性は減弱し,大動脈弁逆流は軽度であり,退院となった.現在,再燃はなく順調に経過している. 本邦において,化膿性脊椎椎体炎を合併する感染性心内膜炎は本例を加え3例と報告が少ない.生活習慣の欧米化に伴い,今後本邦でも増加する可能性が高いと考えられる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.31.11_770