症例 外科的切除と放射線治療が有効と思われた原発性心臓血管肉腫の1例

症例は50歳,男性.心タンポナーデ,右心不全にて発症した右房原発の血管肉腫例である.経食道心エコーにて右房壁に3×4cmの多房性の腫瘤を形成し,内部に出血を疑わせる所見を得た.また,本肉腫は右冠動脈から栄養血管を得ており,著明な造影剤の濃染像を認めた.手術所見でも肉腫は径5×4×3cmで内部に出血を認め,心外膜側へと浸潤し,切除断端からも浸潤像を認めた.しかし,同領域を中心に50Gyの放射線治療を行った以後,外来通院中であるが1年経過後も局所の再発ならびに遠隔転移を認めていない.過去の報告例の検討でも,外科的切除と術後放射線治療が平均余命は最も長く,この治療法の選択が望ましいものと思われた....

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Published in心臓 Vol. 31; no. 6; pp. 431 - 435
Main Authors 松田, 守弘, 野村, 文一, 吉野, 孝司, 石川, 勝憲, 川本, 俊治, 松岡, 哲郎, 浜本, 正樹, 加藤, 昭延, 武田, 吉弘, 井原, 勝彦, 古谷, 保博, 岸田, 堅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1999
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.31.6_431

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Summary:症例は50歳,男性.心タンポナーデ,右心不全にて発症した右房原発の血管肉腫例である.経食道心エコーにて右房壁に3×4cmの多房性の腫瘤を形成し,内部に出血を疑わせる所見を得た.また,本肉腫は右冠動脈から栄養血管を得ており,著明な造影剤の濃染像を認めた.手術所見でも肉腫は径5×4×3cmで内部に出血を認め,心外膜側へと浸潤し,切除断端からも浸潤像を認めた.しかし,同領域を中心に50Gyの放射線治療を行った以後,外来通院中であるが1年経過後も局所の再発ならびに遠隔転移を認めていない.過去の報告例の検討でも,外科的切除と術後放射線治療が平均余命は最も長く,この治療法の選択が望ましいものと思われた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.31.6_431