症例 潜在性傍His束副伝導路と思われた房室副伝導路に対する高周波カテーテルアブレーションの1小児例
症例は9歳男児.7歳から3回胸痛,動悸を認め,前医を受診した.8歳時に同院で右室自由壁副伝導路の高周波カテーテルアブレーション(RF)に成功したが,もう1本は傍His束副伝導路でRFを行わず経過をみた.Verapamilを投与したが,頻拍は再発しRF目的で入院した.既往歴,家族歴に特記すべきことはない.入院時身体所見,血液一般,生化学,尿検査,胸部X線写真,心エコー図に異常はなかった.心電図は心拍数80の洞調律で△波は認めなかった.誘発された頻拍は傍His束副伝導路を介する房室回帰性頻拍で,高位右房連続刺激下で50~55℃,1分間の通電を行いRFに成功した.RF中に完全右脚ブロックを合併した....
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Published in | 心臓 Vol. 36; no. 7; pp. 521 - 526 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2004
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Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.36.7_521 |
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Summary: | 症例は9歳男児.7歳から3回胸痛,動悸を認め,前医を受診した.8歳時に同院で右室自由壁副伝導路の高周波カテーテルアブレーション(RF)に成功したが,もう1本は傍His束副伝導路でRFを行わず経過をみた.Verapamilを投与したが,頻拍は再発しRF目的で入院した.既往歴,家族歴に特記すべきことはない.入院時身体所見,血液一般,生化学,尿検査,胸部X線写真,心エコー図に異常はなかった.心電図は心拍数80の洞調律で△波は認めなかった.誘発された頻拍は傍His束副伝導路を介する房室回帰性頻拍で,高位右房連続刺激下で50~55℃,1分間の通電を行いRFに成功した.RF中に完全右脚ブロックを合併した.潜在性傍His束副伝導路は,逆伝導が正常逆伝導であるかの鑑別が困難で,逆伝導の消失を効果判定に利用できない.今回,高位右房連続刺激で房室伝導を確認しながら,その後の誘発の有無でRFの効果を確認し,安全にRFが施行できたと考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.36.7_521 |