症例 外傷性三尖弁閉鎖不全症の1手術治験例

非穿通性外傷性三尖弁閉鎖不全症の1治験例を報告する. 症例:41歳,男性,主訴は労作後の心悸亢進および呼吸困難 現病歴:昭和34年木材にて前胸部を強打し意識不明となるも1ヵ月で治癒す.昭和44-5年頃より労作後に全身倦怠感,息切れ,動悸を感ずるようになった. 昭利49年1月頃より前記症状増強し起坐呼吸,浮腫を認めるようになり心疾患を指摘された. 入院時脈拍は58/minで不整,両側頸静脈に収縮期拍動を認め胸部では第4肋間胸骨左縁に2/6収縮期雑音を聴取した.肝は2横指触知し拍動を認めた.術中所見で三尖弁前尖の腱索は完全に断裂していた.弁尖および腱索の病理組織所見は炎症所見はまったくなく正常三尖...

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Published in心臓 Vol. 7; no. 10; pp. 1186 - 1192
Main Authors 横倉, 義武, 大石, 喜六, 新郷, 雄一, 古村, 孟, 青柳, 成明, 吉川, 健一郎, 大内, 八束, 古賀, 道弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1975
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.7.10_1186

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Summary:非穿通性外傷性三尖弁閉鎖不全症の1治験例を報告する. 症例:41歳,男性,主訴は労作後の心悸亢進および呼吸困難 現病歴:昭和34年木材にて前胸部を強打し意識不明となるも1ヵ月で治癒す.昭和44-5年頃より労作後に全身倦怠感,息切れ,動悸を感ずるようになった. 昭利49年1月頃より前記症状増強し起坐呼吸,浮腫を認めるようになり心疾患を指摘された. 入院時脈拍は58/minで不整,両側頸静脈に収縮期拍動を認め胸部では第4肋間胸骨左縁に2/6収縮期雑音を聴取した.肝は2横指触知し拍動を認めた.術中所見で三尖弁前尖の腱索は完全に断裂していた.弁尖および腱索の病理組織所見は炎症所見はまったくなく正常三尖弁像であった. 本症の手術法としては腱索および乳頭筋の再建手術と人工弁置換術があるが本例では弁尖腱索の萎縮が強く弁輪拡大若明であったので人工弁置換を施行したが,できる限り生体弁を温存した手術法にて治療が行なわれることが望まれる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.7.10_1186