膵癌術後4年4か月目に肺転移巣を切除可能であった1症例

膵癌術後4年4か月後の肺転移巣を切除しえた症例を経験したので報告する.症例は71歳の女性で,検診の腹部超音波検査で膵腫瘤を指摘された.精査後,膵体部癌の診断で膵体尾部切除を施行し,病理組織学的診断は高分化型腺癌であった.術後1年6か月後,残膵に10 mm大の腫瘤性病変を認め,残膵全摘術を施行した.病理組織学的診断は,慢性膵炎であった.術後4年4か月の胸部CTで,右肺中葉に10 mm大の腫瘤性病変を認めた.精査後,胸腔鏡下右肺中葉切除を施行した.肺腫瘤は病理組織学的に,高円柱状の異型上皮が乳頭管状構造を主体に増殖した腺癌で,免疫染色検査ではTTF-1,napsin-Aが陰性,cytokerati...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 47; no. 3; pp. 196 - 202
Main Authors 原田, 信比古, 小池, 伸定, 梶, 理史, 鈴木, 修司, 斎田, 真, 鈴木, 衛, 伴, 慎一, 尾崎, 雄飛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2014
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2013.0029

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Summary:膵癌術後4年4か月後の肺転移巣を切除しえた症例を経験したので報告する.症例は71歳の女性で,検診の腹部超音波検査で膵腫瘤を指摘された.精査後,膵体部癌の診断で膵体尾部切除を施行し,病理組織学的診断は高分化型腺癌であった.術後1年6か月後,残膵に10 mm大の腫瘤性病変を認め,残膵全摘術を施行した.病理組織学的診断は,慢性膵炎であった.術後4年4か月の胸部CTで,右肺中葉に10 mm大の腫瘤性病変を認めた.精査後,胸腔鏡下右肺中葉切除を施行した.肺腫瘤は病理組織学的に,高円柱状の異型上皮が乳頭管状構造を主体に増殖した腺癌で,免疫染色検査ではTTF-1,napsin-Aが陰性,cytokeratin 7・20,MUC5ACが陽性であった.肺病変が既往の膵癌の組織像と類似し,免疫染色検査による形質が膵原発の腺癌を示唆する結果であったことから,肺病変は膵癌の転移と診断した.肺切除後2年8か月現在,再発は認めていない.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2013.0029