症例 PGI2誘導体(ベラプロストナトリウム)が有効であった多発性筋炎に合併した肺高血圧症の1例
症例は56歳,男性.昭和60年(47歳)より歩行障害,筋力低下が出現.CPK高値,筋電図,筋生検にて多発性筋炎(polymyositis,PM)と診断された.プレドニン内服開始後,症状は改善し外来で加療されていたが,経過中に拘束性換気障害が出現し間質性肺炎と診断した.以後しばらくはプレドニン12.5mg/日,隔日投与でNYHA分類I度であったが,平成6年12月になってから平地歩行も困難となり再入院した.右心カテーテル検査で肺動脈圧69/30(平均43)mmHgと著明な肺高血圧を認めたため,膠原病に合併した肺高血圧症の診断のもと,PGI2誘導体であるベラプロストナトリウム60μg/日の投与を開始...
Saved in:
Published in | 心臓 Vol. 29; no. 5; pp. 425 - 429 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
1997
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.29.5_425 |
Cover
Summary: | 症例は56歳,男性.昭和60年(47歳)より歩行障害,筋力低下が出現.CPK高値,筋電図,筋生検にて多発性筋炎(polymyositis,PM)と診断された.プレドニン内服開始後,症状は改善し外来で加療されていたが,経過中に拘束性換気障害が出現し間質性肺炎と診断した.以後しばらくはプレドニン12.5mg/日,隔日投与でNYHA分類I度であったが,平成6年12月になってから平地歩行も困難となり再入院した.右心カテーテル検査で肺動脈圧69/30(平均43)mmHgと著明な肺高血圧を認めたため,膠原病に合併した肺高血圧症の診断のもと,PGI2誘導体であるベラプロストナトリウム60μg/日の投与を開始した.以後180μg/日まで増量し経過をみたところ,自覚症状は徐々に改善し,3カ月後の右心カテーテル検査時には肺動脈圧53/22(32)mmHgと低下を認めた. 肺高血圧を合併する膠原病としては混合性結合織病(MCTD),強皮症(PSS),全身性エリテマトーデス(SLE)が有名であるが,PMにおいては報告はまれである.肺高血圧を合併すると予後は極めて悪く,また現在のところ確立した治療法はない.我々は,PGI2誘導体の投与により肺高血圧の改善をみたPMの症例を経験したので報告する. |
---|---|
ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.29.5_425 |