研究会 第23回 河口湖心臓討論会 虚血性心筋障害 虚血心筋における拡張機能障害と代謝の関係
狭心症発作時にみられる左室拡張機能障害(左室弛緩速度および拡張期伸展性の低下)の機序を検討するためにラット摘出灌流心の等容収縮モデルを用い,(1)同様の拡張機能障害の再現を試み,(2)31PNMRを用い対応する心筋エネルギー代謝障害について調べた.さらに(3)これらの拡張機能障害,代謝障害に対するCa2P拮抗薬の効果についても検討した.冠灌流圧を低下せしめ,左室容積を増し前負荷を上げペーシング頻拍負荷を加えることにより左室拡張終期圧(LVEDP)は上昇し,左室圧下降の時定数Tは延長し,狭心症発作時と類似の拡張機能障害が得られた.しかし捻ifedipine(3×10-8M)の前投与によりこれらの...
Saved in:
Published in | 心臓 Vol. 22; no. 4; pp. 459 - 472 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
1990
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.22.4_459 |
Cover
Summary: | 狭心症発作時にみられる左室拡張機能障害(左室弛緩速度および拡張期伸展性の低下)の機序を検討するためにラット摘出灌流心の等容収縮モデルを用い,(1)同様の拡張機能障害の再現を試み,(2)31PNMRを用い対応する心筋エネルギー代謝障害について調べた.さらに(3)これらの拡張機能障害,代謝障害に対するCa2P拮抗薬の効果についても検討した.冠灌流圧を低下せしめ,左室容積を増し前負荷を上げペーシング頻拍負荷を加えることにより左室拡張終期圧(LVEDP)は上昇し,左室圧下降の時定数Tは延長し,狭心症発作時と類似の拡張機能障害が得られた.しかし捻ifedipine(3×10-8M)の前投与によりこれらの拡張機能障害のうち特にLVEDPの上昇,すなわち左室拡張期スティフネスの増加が抑制された,31PNMRスペクトロスコピーを用いた実験より上記拡張期スティフネスの増加に一致して心筋高エネルギー燐酸の減少,細胞内pHの低下が認められたが,もう1つのCa2+拮抗薬verapamilの前投与によりこれらの拡張機能および代謝の障害が軽減された.以上より摘出灌流心を用いて狭心症発作時の拡張機能障害を再生しえたが,この拡張機能障害には心筋高エネルギー燐酸,特にATPの低下に伴う筋小胞体のCa2+取り込み能の障害が重要な役割を果たしていると考えられる。さらにCa2+拮抗薬は心筋ATPの減少を抑制することにより本モデルの拡張機能障害を軽減するものと思われる. |
---|---|
ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.22.4_459 |