症例 左冠動脈主幹部閉塞による若年者急性心筋梗塞の1例
左冠動脈主幹部狭窄による不安定狭心症があり,この部の閉塞で急性心筋梗塞を発症し,かつ待期的A-Cバイパス術を施行し得た若年例を経験した.症例は32歳男性で,昭和62年1月,軽労作で前胸部痛が出現し,運動負荷心電図で狭心症と診断され投薬を受けた.しかし胸痛は続き,精査のため同年2月20日入院した.安静時心電図は正常で,冠動脈造影上,左主幹部に99%狭窄と右冠動脈からの著明な側副血行路を認めた.2月23日急性心筋梗塞を発症し,ウロキナーゼ96万単位を静注した.1カ月後再度冠動脈造影を施行し左主幹部の閉塞を認め,左前下行枝ヘバイパス手術を行った.術後,側副血行路は消退し狭心症もない.本症例のごとく,...
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Published in | 心臓 Vol. 24; no. 4; pp. 428 - 435 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
1992
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Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.24.4_428 |
Cover
Summary: | 左冠動脈主幹部狭窄による不安定狭心症があり,この部の閉塞で急性心筋梗塞を発症し,かつ待期的A-Cバイパス術を施行し得た若年例を経験した.症例は32歳男性で,昭和62年1月,軽労作で前胸部痛が出現し,運動負荷心電図で狭心症と診断され投薬を受けた.しかし胸痛は続き,精査のため同年2月20日入院した.安静時心電図は正常で,冠動脈造影上,左主幹部に99%狭窄と右冠動脈からの著明な側副血行路を認めた.2月23日急性心筋梗塞を発症し,ウロキナーゼ96万単位を静注した.1カ月後再度冠動脈造影を施行し左主幹部の閉塞を認め,左前下行枝ヘバイパス手術を行った.術後,側副血行路は消退し狭心症もない.本症例のごとく,若年者で左冠動脈主幹部閉塞によって急性心筋梗塞に移行する過程が観察された症例の報告はまれで,詳細を報告し若干の考察を加えた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.24.4_428 |