放射線照射した甲殻類(エビおよびカニ)の検知への電子スピン共鳴分光法の適用

日本で流通するエビ,カニの多くは輸入品が占めているため,国内向けの品種を対象とした照射検知法開発が重要である.本研究では,輸入量の多い品種のエビとカニを対象に,電子スピン共鳴(ESR)分光法による照射誘導ラジカルの同定と照射判定の可能性を検討した.エビ(ブラックタイガー,バナメイエビ)は腹節の殻と尾扇を,カニ(ズワイガニ,タラバガニ,ワタリガニ)は脚と螯(ハサミ)の殻を使用した.エビの腹節の殻と尾扇,カニの脚の殻は照射によって特異的に誘導されるラジカルは検出されず,ESRによる照射判定は不可能であった.カニの螯の殻はヒドロキシアパタイト由来の照射誘導ラジカルが強く認められ,照射判定できる可能性...

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Published in食品衛生学雑誌 Vol. 55; no. 5; pp. 193 - 204
Main Authors 亀谷, 宏美, 高附, 巧, 松田, りえ子, 堤, 智昭, 等々力, 節子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本食品衛生学会 2014
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Summary:日本で流通するエビ,カニの多くは輸入品が占めているため,国内向けの品種を対象とした照射検知法開発が重要である.本研究では,輸入量の多い品種のエビとカニを対象に,電子スピン共鳴(ESR)分光法による照射誘導ラジカルの同定と照射判定の可能性を検討した.エビ(ブラックタイガー,バナメイエビ)は腹節の殻と尾扇を,カニ(ズワイガニ,タラバガニ,ワタリガニ)は脚と螯(ハサミ)の殻を使用した.エビの腹節の殻と尾扇,カニの脚の殻は照射によって特異的に誘導されるラジカルは検出されず,ESRによる照射判定は不可能であった.カニの螯の殻はヒドロキシアパタイト由来の照射誘導ラジカルが強く認められ,照射判定できる可能性が示された.
ISSN:0015-6426
1882-1006
DOI:10.3358/shokueishi.55.193