症例 大動脈弁閉鎖不全症を伴った心尖部憩室の1例

症例は34歳,女性,長年不整脈,心臓超音波検査にて心拡大および大動脈弁閉鎖不全症を指摘され定期的に検査を受けていたが,労作時息切れ,易疲労感および心拡大増大のため精査目的にて入院した.心エコー検査,左室造影検査にて心尖部に6×5×4cm大の瘤様構造物を認め,その部の壁運動は拡張期に最大で収縮期に収縮することから心室憩室と診断した.平均肺動脈楔入圧は5mmHg,肺動脈圧16/6mmHg,心係数は3.11l/min/m2,左室駆出率は0.5,左室拡張末期容積係数は108ml/m2であった.心エコードップラー検査,大動脈造影検査にて右冠尖の逸脱およびII度の大動脈弁閉鎖不全症を認めた.合併奇形は認め...

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Published in心臓 Vol. 28; no. 7; pp. 580 - 585
Main Authors 曽村, 富士, 揚妻, 広隆, 武市, 康志, 稲垣, 春夫, 上原, 晋, 熊谷, 亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1996
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.28.7_580

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Summary:症例は34歳,女性,長年不整脈,心臓超音波検査にて心拡大および大動脈弁閉鎖不全症を指摘され定期的に検査を受けていたが,労作時息切れ,易疲労感および心拡大増大のため精査目的にて入院した.心エコー検査,左室造影検査にて心尖部に6×5×4cm大の瘤様構造物を認め,その部の壁運動は拡張期に最大で収縮期に収縮することから心室憩室と診断した.平均肺動脈楔入圧は5mmHg,肺動脈圧16/6mmHg,心係数は3.11l/min/m2,左室駆出率は0.5,左室拡張末期容積係数は108ml/m2であった.心エコードップラー検査,大動脈造影検査にて右冠尖の逸脱およびII度の大動脈弁閉鎖不全症を認めた.合併奇形は認められなかった.現在,本症例は外科的切除は施行せず,内科的な治療および定期的な検査にて経過をみている.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.28.7_580