症例 左鎖骨下動脈起始部離断を伴った大動脈弓離断症に乳糜胸を合併した1新生児例

症例は日齢4の男児で,呼吸障害が出現し,胸部X線像にて右側に胸水貯留像を認めた.胸腔穿刺にて白濁オレンジ色の胸水を採取し,組成より乳糜胸と診断した.心音はギャロップリズムを示した.左上肢と両下肢の脈が弱いため左橈骨動脈造影を行い大動脈弓離断症と診断した.心臓カテーテル検査にて,心室中隔欠損および動脈管開存は伴わず,stretched foramen ovaleを認めた.また左鎖骨下動脈起始部は大動脈弓より離断しており,下行大動脈とも離れていた.本例は新生児期にすでに下行大動脈への豊寓な側副血行路を形成していたが,心不全および難治性乳糜胸による呼吸不全のため日齢26に死亡した.大動脈弓離断症にお...

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Published in心臓 Vol. 26; no. 4; pp. 388 - 393
Main Authors 中津, 忠則, 吉田, 哲也, 森, 健治, 林, 弘治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1994
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.26.4_388

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Summary:症例は日齢4の男児で,呼吸障害が出現し,胸部X線像にて右側に胸水貯留像を認めた.胸腔穿刺にて白濁オレンジ色の胸水を採取し,組成より乳糜胸と診断した.心音はギャロップリズムを示した.左上肢と両下肢の脈が弱いため左橈骨動脈造影を行い大動脈弓離断症と診断した.心臓カテーテル検査にて,心室中隔欠損および動脈管開存は伴わず,stretched foramen ovaleを認めた.また左鎖骨下動脈起始部は大動脈弓より離断しており,下行大動脈とも離れていた.本例は新生児期にすでに下行大動脈への豊寓な側副血行路を形成していたが,心不全および難治性乳糜胸による呼吸不全のため日齢26に死亡した.大動脈弓離断症において,左鎖骨下動脈起始部の離断している病型の報告例はなく,Celoriaなどの従来の分類では表現できない症例と考えられたので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.26.4_388