腎機能障害を合併した高尿酸血症に対するトピロキソスタット長期投与の検討

腎機能低下例に対する尿酸降下薬長期投与の有効性についてはアロプリノールとフェブキソスタットでは報告されているが,トピロキソスタットについてはほとんど行われていない.トピロキソスタットの長期投与が可能となった2014年9月から2023年9月までの9年間で,トピロキソスタット開始前の推算糸球体濾過量(eGFR)が60 mL/min/1.73m2未満で,かつ5年以上トピロキソスタットが投与されている痛風・高尿酸血症症例53例を選び出して,トピロキソスタットによる腎機能への影響を検討した.トピロキソスタット投与期間が6年目以降では症例数は漸減し,最長の8年間は13例であった.トピロキソスタットは1日4...

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Published in痛風と尿酸・核酸 Vol. 48; no. 1; pp. 23 - 31
Main Authors 大山, 博司, 諸見里, 仁, 大山, 恵子, 藤森, 新
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会 25.07.2024
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Summary:腎機能低下例に対する尿酸降下薬長期投与の有効性についてはアロプリノールとフェブキソスタットでは報告されているが,トピロキソスタットについてはほとんど行われていない.トピロキソスタットの長期投与が可能となった2014年9月から2023年9月までの9年間で,トピロキソスタット開始前の推算糸球体濾過量(eGFR)が60 mL/min/1.73m2未満で,かつ5年以上トピロキソスタットが投与されている痛風・高尿酸血症症例53例を選び出して,トピロキソスタットによる腎機能への影響を検討した.トピロキソスタット投与期間が6年目以降では症例数は漸減し,最長の8年間は13例であった.トピロキソスタットは1日40 mg(20 mg×2)で開始され,1日平均投与量は96.4 mg~105.3 mgであった.血清尿酸値は8.9±1.6 mg/dLから1年後には5.6±0.8 mg/dLに有意に低下し,その後も各年度とも平均5 mg/dL台で推移しており,6.0 mg/dL以下の症例が73.6 %〜95.5 %とコントロールは良好であった.eGFRは治療開始時の53.2±5.0 mL/min/1.73m2から1年後には56.0±6.2 mL/min/1.73m2,2年後も56.2±6.5 mL/min/1.73m2に増加し,3年目以降は漸減したが5年後までは治療開始時の数値よりも高値で推移していた.すべての年度で血清尿酸値が6.0 mg/dL以下を達成できていた症例は18例と少なかったが,そのような症例では血清尿酸値は2年以降平均4.0 mg/dL台で維持され,eGFRは53.8±3.9 mL/min/1.73m2,から1年後56.6±4.4 mL/min/1.73m2,2年後は57.8±5.0 mL/min/1.73m2まで改善し,3年後を除き5年後まで有意な増加が維持され,7年後までトピロキソスタット開始時よりも高値で推移していた.トピロキソスタットは中等度の腎機能低下を長期にわたって改善する作用を有する可能性があると考えられた.
ISSN:2435-0095
DOI:10.14867/gnamtsunyo.48.1_23