症例 イソプロテレノールが有効と思われた新生児心筋炎の1例

新生児心筋炎は,きわめて予後不良の疾患であり,本邦報告の9例中,生存は3例のみである.本症例は,生後2日目にチアノーゼ,徐脈および多呼吸にて発症し,重篤な心不全を示した.Mモード心エコー図では,著しい心機能低下がみられ,心電図では著明な徐脈,1度房室ブロックおよび心室内伝導障害を呈した.またGOT,GPT,LDH,CPKの一過性の高値が認められた.心筋炎による著しい心機能障害と考えて,イソプロテレノールの持続注入を行うことにより救命することができた.以後の経過は順調であり,生後6カ月の現在,外来で経過観察している.本症の治療は従来よりジギタリス剤が主として用いられているが,予後改善のためには第...

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Published in心臓 Vol. 17; no. 1; pp. 47 - 55
Main Authors 阿達, 恒一, 山下, 和子, 松岡, 優, 中津, 忠則, 佐藤, 登, 植田, 秀信, 宮内, 吉男, 宮尾, 益英, 増田, 昌英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1985
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.17.1_47

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Summary:新生児心筋炎は,きわめて予後不良の疾患であり,本邦報告の9例中,生存は3例のみである.本症例は,生後2日目にチアノーゼ,徐脈および多呼吸にて発症し,重篤な心不全を示した.Mモード心エコー図では,著しい心機能低下がみられ,心電図では著明な徐脈,1度房室ブロックおよび心室内伝導障害を呈した.またGOT,GPT,LDH,CPKの一過性の高値が認められた.心筋炎による著しい心機能障害と考えて,イソプロテレノールの持続注入を行うことにより救命することができた.以後の経過は順調であり,生後6カ月の現在,外来で経過観察している.本症の治療は従来よりジギタリス剤が主として用いられているが,予後改善のためには第1選択としてカテコールアミン類を使用すべきではないかと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.17.1_47