ブタ小腸粘膜の膜結合アミノペプチダーゼの可溶化と諸性質について

(1) ブタ小腸粘膜抽出液の105,000×g沈殿画分より基質特異性の異なる3種類のアミノペプチダーゼ(アミノペプチダーゼI, IIおよびIII)をトリトンX-100を用いて可溶化し,ゲル濾過,イオン交換クロマトグラフィーにより部分精製した. (2)アミノペプチダーゼIの分子量は約280,000であり,至適pHは8.0付近,至適温度は50°C付近であった.o-フェナントロリンにより著しい阻害を受けたが, Co2+の添加により活性は完全に回復した.トリペプチドおよびテトラペプチドをよく水解し,またアミノ酸のp-ニトロアニリドも水解することから本酵素はアミノペプチダーゼM(ミクロゾーム) [EC...

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Published in日本農芸化学会誌 Vol. 59; no. 4; pp. 397 - 403
Main Authors 長谷川, 喜斐, 児玉, 治, 赤塚, 尹巳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本農芸化学会 01.04.1985
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ISSN0002-1407
1883-6844
DOI10.1271/nogeikagaku1924.59.397

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Summary:(1) ブタ小腸粘膜抽出液の105,000×g沈殿画分より基質特異性の異なる3種類のアミノペプチダーゼ(アミノペプチダーゼI, IIおよびIII)をトリトンX-100を用いて可溶化し,ゲル濾過,イオン交換クロマトグラフィーにより部分精製した. (2)アミノペプチダーゼIの分子量は約280,000であり,至適pHは8.0付近,至適温度は50°C付近であった.o-フェナントロリンにより著しい阻害を受けたが, Co2+の添加により活性は完全に回復した.トリペプチドおよびテトラペプチドをよく水解し,またアミノ酸のp-ニトロアニリドも水解することから本酵素はアミノペプチダーゼM(ミクロゾーム) [EC 3. 4. 11. 2]類似酵素と考えられる. (3) アミノペプチダーゼIIの分子量は約80,000,至適pHは7.0付近,至適温度は40°付近であった.pCMB, EDTAおよびo-フェナントロリンにより強い阻害が認められた. o-フェナントロリンにより阻害を受けたアミノペプチダーゼIIはCo2+またはZn2+の添加により活性は約30%回復した.また,アラニルーグリシン,ロイシルーグリシンおよびグリシル-ロイシンを水解したが,トリペプチド,テトラペプチドおよびアミノ酸のp-ニトロアニリドを水解せずジペプチダーゼ[EC 3. 4. 13. 11]と考えられる. (4) アミノペプチダービIIIの分子量は約50,000であり,至適pHは8.0付近,至適温度は40°C付近であった. PMSF, pCMBにより著しい阻害が認められ, 2-メルカプトエタノールにより約30%活性が増加し,活性発現にSH基の関与が示唆された.トリペプチドであるロイシルーグリシルーグリシンおよびアラニルーグリシルーグリシンを水解したが,ジペプチド,テトラペプチドおよびアミノ酸のp-ニトロアニリドを水解せずトリペプチダーゼ[EC 3. 4. 11. 4]と考えられる.
ISSN:0002-1407
1883-6844
DOI:10.1271/nogeikagaku1924.59.397