並河天民の師―有馬凉及について

並河天民は『傷寒論』を重要視し,その弟子たちに張仲景方の重要性を唱えていた。天民の師のひとりである有馬凉及は,まだ古方が流布する前の時代に,天皇に対し衆議を経ずに“承気湯”を奉じていた。承気湯は張仲景の医書に由来する処方である。松原一閑斎の弟子である合田求吾の『医道聞書』に「此古方ノ起リハ有馬良牛ト云者天下ノ英雄ニテ後西院ノ違勅ヲ蒙リシ程ノ人ナリ。ソレヨリ天民ニ伝ヘラレタリ。」とあることから有馬凉及は並河天民に『傷寒論』を重要視させた師の一人であることが判明した。...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 63; no. 6; pp. 417 - 427
Main Authors 河野, 吉成, 岩井, 祐泉, 栗林, 秀樹, 田中, 耕一郎, 岡田, 研吉, 並木, 隆雄, 植松, 海雲, 牧角, 和宏, 板倉, 英俊, 中田, 英之, 山口, 秀敏, 松岡, 尚則, 笛木, 司, 頼, 建守, 阿南, 多美恵, 別府, 正志, 秋葉, 哲生, 奈良, 和彦, 三浦, 於菟, 芹澤, 敬子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2012
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.63.417

Cover

More Information
Summary:並河天民は『傷寒論』を重要視し,その弟子たちに張仲景方の重要性を唱えていた。天民の師のひとりである有馬凉及は,まだ古方が流布する前の時代に,天皇に対し衆議を経ずに“承気湯”を奉じていた。承気湯は張仲景の医書に由来する処方である。松原一閑斎の弟子である合田求吾の『医道聞書』に「此古方ノ起リハ有馬良牛ト云者天下ノ英雄ニテ後西院ノ違勅ヲ蒙リシ程ノ人ナリ。ソレヨリ天民ニ伝ヘラレタリ。」とあることから有馬凉及は並河天民に『傷寒論』を重要視させた師の一人であることが判明した。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.63.417