エルトロンボパグ併用免疫療法により 造血の回復を認めた再生不良性貧血の最重症小児例

再生不良性貧血(AA, aplastic anemia)に対するエルトロンボパグ(EPAG, eltrombopag)併用免疫療法(IST, immunosuppressive therapy)は,症例が少なく治療報告には限りがある.症例は,13 歳の男子.主訴は発熱と紫斑.好中球数(Neutro) 166/μL,ヘモグロビン(Hb) 8.6 g/dL,血小板数(PLT) 0.2 × 104 /μL と汎血球減少を認めた.骨髄検査で低形成と脂肪髄がみられ,巨核球を認めず血球の異形成はみられなかった.染色体は正常核型で脆弱性がなく,発作性夜間へモグロビン尿症血球は検出されずテロメア長の短縮はなか...

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Published in岩手医学雑誌 Vol. 77; no. 1; pp. 37 - 43
Main Authors 越前屋, 竹寅, 清野, 精康, 及川, 慶介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 岩手医学会 02.05.2025
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ISSN0021-3284
2434-0855
DOI10.24750/iwateishi.77.1_37

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Summary:再生不良性貧血(AA, aplastic anemia)に対するエルトロンボパグ(EPAG, eltrombopag)併用免疫療法(IST, immunosuppressive therapy)は,症例が少なく治療報告には限りがある.症例は,13 歳の男子.主訴は発熱と紫斑.好中球数(Neutro) 166/μL,ヘモグロビン(Hb) 8.6 g/dL,血小板数(PLT) 0.2 × 104 /μL と汎血球減少を認めた.骨髄検査で低形成と脂肪髄がみられ,巨核球を認めず血球の異形成はみられなかった.染色体は正常核型で脆弱性がなく,発作性夜間へモグロビン尿症血球は検出されずテロメア長の短縮はなかった.以上のことから,最重症型AA と診断した.患児には同胞がいなかったため,EPAG併用IST を施行した.Neutro やHb およびPLT は,9 カ月で完全寛解の基準を満たした.合併症の出現や再発はなく,日常生活に制限はない.今回,EPAG 併用IST が3 系統の造血回復と生活の質を改善した1 例を経験したので報告する.
ISSN:0021-3284
2434-0855
DOI:10.24750/iwateishi.77.1_37