ラットを用いた脳動脈瘤初期発生段階におけるMMP-2,-9の解析

嚢状脳動脈瘤の発生についてはマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)ファミリーであるMMP-2,-9の関わりが知られているが,発生初期におけるMMP-2,-9の詳細な解析の報告はない.したがって,脳動脈瘤に対する治療を開発する上で発生機構の解明は必要不可欠である.そこで,片側総頸動脈結紮による脳動脈瘤誘発ラットを使用し,脳動脈瘤発生初期におけるMMP-2,-9の挙動を脳血管組織の免疫染色およびRT-PCRにより解析した.MMP-2は誘発術施行の有無にかかわらず遺伝子発現が認められ,術後の経過でも発現量の変動も認められなかった.MMP-9は術後4週間より非結紮側血管分岐部に遺伝子発現を確認した....

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Published in脳卒中 Vol. 32; no. 1; pp. 48 - 54
Main Authors 田中, 雄一郎, 中島, 秀喜, 水庭, 宜隆, 三好, 洋, 高橋, 清文, 佐々木, 千鶴子, 橋本, 卓雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2010
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.32.48

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Summary:嚢状脳動脈瘤の発生についてはマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)ファミリーであるMMP-2,-9の関わりが知られているが,発生初期におけるMMP-2,-9の詳細な解析の報告はない.したがって,脳動脈瘤に対する治療を開発する上で発生機構の解明は必要不可欠である.そこで,片側総頸動脈結紮による脳動脈瘤誘発ラットを使用し,脳動脈瘤発生初期におけるMMP-2,-9の挙動を脳血管組織の免疫染色およびRT-PCRにより解析した.MMP-2は誘発術施行の有無にかかわらず遺伝子発現が認められ,術後の経過でも発現量の変動も認められなかった.MMP-9は術後4週間より非結紮側血管分岐部に遺伝子発現を確認した.これらの結果より,MMP-2遺伝子は発生段階での関与は定かではないが定常的な発現がみられ,脳動脈瘤発生過程でのMMP-9遺伝子の発現が加わることで両者が協調して動脈瘤成熟に関与すると推察される.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.32.48