メスを併用して外側から行う頸部郭清術

本稿ではメスを併用して外側から行う頸部郭清術の解説,メスの原理,使用方法,甲状腺癌に対して行う際の注意点について述べる。外側から行う利点として,郭清範囲後縁が決めやすいこと,重要組織を同一平面で見ることが可能であること,頸動脈鞘周囲を全周性かつ余すところなく郭清することが容易であること,迷走神経の誤切除・頸動脈損傷などの危険性を減らすことができることがあげられる。実際には,郭清の外側縁を決め,深頸筋膜に沿って郭清組織を挙上し,頸動脈鞘および静脈角周囲の処理の順で行うことになる。頸動脈鞘周囲はメスが本領を発揮できる場所である。最初に総頸動脈,次に迷走神経に沿ってメスを「横」に動かす。次に内頸静脈...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 238 - 241
Main Author 塚原, 清彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2021
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.38.4_238

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Summary:本稿ではメスを併用して外側から行う頸部郭清術の解説,メスの原理,使用方法,甲状腺癌に対して行う際の注意点について述べる。外側から行う利点として,郭清範囲後縁が決めやすいこと,重要組織を同一平面で見ることが可能であること,頸動脈鞘周囲を全周性かつ余すところなく郭清することが容易であること,迷走神経の誤切除・頸動脈損傷などの危険性を減らすことができることがあげられる。実際には,郭清の外側縁を決め,深頸筋膜に沿って郭清組織を挙上し,頸動脈鞘および静脈角周囲の処理の順で行うことになる。頸動脈鞘周囲はメスが本領を発揮できる場所である。最初に総頸動脈,次に迷走神経に沿ってメスを「横」に動かす。次に内頸静脈に沿って同様の操作を行う。また,上縁と下縁ではメスを「斜め」に使用する。各癌腫の生物学的特性,そして各術式の特性を十分に理解し,状況に応じて適切な郭清範囲,術式を選ぶことが術者にとって重要である。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.38.4_238