安全な気管カニューレ管理を目的として腕頭動脈離断術を施行した重症心身障害児(者)6症例の検討
長期間の気管カニューレ管理において気管腕頭動脈瘻は重篤な合併症であり,重症心身障害児(者)では側弯症などの姿勢変化によって致命的出血のリスクは高まる。今回,気管腕頭動脈瘻を予防するための安全な気管カニューレ管理を目的に,当院で腕頭動脈離断術を施行した6症例について,臨床症状,気管内所見,画像所見を後方視的に検討した。側弯症などの姿勢変化と,びらん・潰瘍,腕頭動脈上方偏位による気管狭窄などの気管内所見を全症例に認めた。先行出血は半数でみとめた。画像所見では単純X線でコブ角が61°,造影CTで胸郭前後径が18.7 mm,気管前後径が5 mm(それぞれ中央値)であった。腕頭動脈破裂による緊急手術が1...
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Published in | 小児耳鼻咽喉科 Vol. 41; no. 1; pp. 27 - 33 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本小児耳鼻咽喉科学会
2020
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Subjects | |
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ISSN | 0919-5858 2186-5957 |
DOI | 10.11374/shonijibi.41.27 |
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Summary: | 長期間の気管カニューレ管理において気管腕頭動脈瘻は重篤な合併症であり,重症心身障害児(者)では側弯症などの姿勢変化によって致命的出血のリスクは高まる。今回,気管腕頭動脈瘻を予防するための安全な気管カニューレ管理を目的に,当院で腕頭動脈離断術を施行した6症例について,臨床症状,気管内所見,画像所見を後方視的に検討した。側弯症などの姿勢変化と,びらん・潰瘍,腕頭動脈上方偏位による気管狭窄などの気管内所見を全症例に認めた。先行出血は半数でみとめた。画像所見では単純X線でコブ角が61°,造影CTで胸郭前後径が18.7 mm,気管前後径が5 mm(それぞれ中央値)であった。腕頭動脈破裂による緊急手術が1例あり,5例は予防的に腕頭動脈離断術を施行した。ファイバースコープ検査を頻回に行って,何からの気管内所見がある症例では画像検査の計画,さらには予防的腕頭動脈離断術を検討することが適切な管理と考えた。 |
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ISSN: | 0919-5858 2186-5957 |
DOI: | 10.11374/shonijibi.41.27 |