超微小茎頂分裂組織培養法と in vitro 接ぎ木による単為結果性トマトの TYLCV フリー苗作出

Tomato yellow leaf curl virus(TYLCV)の感染により起こる黄化葉巻病はトマトの収量を減少させ,ウイルスが生育の初期に感染した場合には果実がほとんど収穫できない.単為結果性トマト‘MPK-1’の挿し木苗は京都市内の農家に配布され,新京野菜‘京てまり’として販売されている.2013 年に京都大学で栽培管理している‘京てまり’を含む単為結果性トマト 10 品種の親株において黄化葉巻症状が確認された.Microtissue direct PCR を行ったところ,黄化葉巻症状を示す株からはベゴモウイルス特異的な増幅産物が検出された.ウイルス配列を解読し,分子系統解析を行っ...

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Published inThe Horticulture Journal Vol. 84; no. 4; pp. 327 - 333
Main Authors 鍋島, 朋之, 北島, 宣, 田中, 友理, 小枝, 壮太, 滝澤, 理仁
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 園芸学会 2015
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ISSN2189-0102
2189-0110
DOI10.2503/hortj.MI-055

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Summary:Tomato yellow leaf curl virus(TYLCV)の感染により起こる黄化葉巻病はトマトの収量を減少させ,ウイルスが生育の初期に感染した場合には果実がほとんど収穫できない.単為結果性トマト‘MPK-1’の挿し木苗は京都市内の農家に配布され,新京野菜‘京てまり’として販売されている.2013 年に京都大学で栽培管理している‘京てまり’を含む単為結果性トマト 10 品種の親株において黄化葉巻症状が確認された.Microtissue direct PCR を行ったところ,黄化葉巻症状を示す株からはベゴモウイルス特異的な増幅産物が検出された.ウイルス配列を解読し,分子系統解析を行ったところ,TYLCV-Mild の感染が確認された.In situ ハイブリダイゼーションにより TYLCV の局在性を調査したところ,TYLCV が感染した‘MPK-1’において葉原基の師部組織では TYLCV が検出されたが,茎頂分裂組織では検出されなかった.そこで,葉原基を含まない茎頂分裂組織のみを切り出し培養する,超微小茎頂分裂組織培養法と in vitro 接ぎ木を組み合わせてウイルスの除去を試みたところ,約 3 ヶ月で TYLCV フリー苗が作出できた.本研究で確立された手法は栄養繁殖性の単為結果性トマトにおける効率的な TYLCV フリー化を可能にする.
ISSN:2189-0102
2189-0110
DOI:10.2503/hortj.MI-055