歯学部学生の性格と社会的スキルに関する研究

対人関係を円滑に行うための適応能力は社会的スキルと呼ばれ,この社会的スキルは学習により上達するとされている.より良い歯科医師-患者関係を育むための態度教育において,学生の社会的スキルを評価することは重要であるが,歯学部学生に関する報告は無い.本研究では,歯学部学生の社会的スキルと性格の関係について調査を行った.対象は九州歯科大学学生205名とし,矢田部-ギルフォード性格検査(YG検査)の結果により学生の性格を5つのTypeに分類した.また社会的スキル測定の尺度とするためAffective Communication Test(ACT)を行ない,以下の結果を得た. 1.YG検査による分類では,T...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 62; no. 1.2; pp. 57 - 63
Main Authors 冨永, 和宏, 永松, 浩, 大住, 伴子, 寺下, 正道, 曽我部, 浩一, 西原, 達次, 木尾, 哲朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 2008
Subjects
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ISSN0368-6833
1880-8719
DOI10.2504/kds.62.57

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Summary:対人関係を円滑に行うための適応能力は社会的スキルと呼ばれ,この社会的スキルは学習により上達するとされている.より良い歯科医師-患者関係を育むための態度教育において,学生の社会的スキルを評価することは重要であるが,歯学部学生に関する報告は無い.本研究では,歯学部学生の社会的スキルと性格の関係について調査を行った.対象は九州歯科大学学生205名とし,矢田部-ギルフォード性格検査(YG検査)の結果により学生の性格を5つのTypeに分類した.また社会的スキル測定の尺度とするためAffective Communication Test(ACT)を行ない,以下の結果を得た. 1.YG検査による分類では,Type Dが約40%,Type Cが約20%,次いでType A, B であり,Type Eは約10%であった. 2.男子学生のACT平均点数は58.7で,女子学生の平均点数は62.9であった. 3.Type間のACT平均点数の比較では,Type DはType A,C,Eより有意に高く,Type BはType C,Eより有意に高かった.Type CはType A,B,Dより有意に低く,Type EはType B,Dより有意に低かった. 4.高ACT点数者はType B,Dに多く,低ACT点数者はType C,Eに多かった. 以上の結果から,性格と社会的スキルの間には相関関係があることがわかり,今後YG検査およびACTを用いて態度教育の効果を評価することが可能であることが示唆された.
ISSN:0368-6833
1880-8719
DOI:10.2504/kds.62.57