ポーセレン・ラミネートベニアとポーセレン・インレーの適合性に及ぼす耐火模型材の熱的挙動
ポーセレン・ラミネートベニア修復とポーセレン・インレー修復は接着材料の接着強度の向上および患者の審美性への要望により需要が増えている．この修復物の作製方法の中で，歯の微妙な色や形態を再現するには耐火模型材を用いた築盛・焼成法が最も適するものである．本研究は築盛・焼成法を用いて作製したポーセレン・ラミネートベニアならびにポーセレン・インレーと窩洞との間隙，ポーセレンと耐火模型材の加熱・冷却による熱膨張・収縮曲線，および繰り返し焼成による寸法変化を測定し，熱的挙動がポーセレン修復物の適合性に及ぼす影響を検討した． 今回は築盛・焼成用システム2種類（Laminaシステム，G-Cera Cosmote...
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| Published in | 九州歯科学会雑誌 Vol. 62; no. 3.4; pp. 73 - 84 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
九州歯科学会
2008
|
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0368-6833 1880-8719 |
| DOI | 10.2504/kds.62.73 |
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| Abstract | ポーセレン・ラミネートベニア修復とポーセレン・インレー修復は接着材料の接着強度の向上および患者の審美性への要望により需要が増えている．この修復物の作製方法の中で，歯の微妙な色や形態を再現するには耐火模型材を用いた築盛・焼成法が最も適するものである．本研究は築盛・焼成法を用いて作製したポーセレン・ラミネートベニアならびにポーセレン・インレーと窩洞との間隙，ポーセレンと耐火模型材の加熱・冷却による熱膨張・収縮曲線，および繰り返し焼成による寸法変化を測定し，熱的挙動がポーセレン修復物の適合性に及ぼす影響を検討した． 今回は築盛・焼成用システム2種類（Laminaシステム，G-Cera CosmotechIIシステム）を用いて行った．耐火模型材はメーカー指示通りの粉液比（インレー模型作製時の液/水の比は，Laminaシステムの場合が1:2，G-Cera CosmotechIIシステムの場合が3:5）でポーセレン・ラミネートベニアと1級ポーセレンインレーを作製した．また，ベニアと同じ粉液比の耐火模型を用いたインレーも作製した． 修復物と模型との間隙は耐火模型材の種類にかかわらず，ベニアの場合は中央部から辺縁に向かって大きくなり，インレーの場合は窩壁中央部，辺縁部，窩底中央部の順に大きくなった．水を添加した耐火模型材で作製したインレーの間隙は小さくなる傾向にあった．昇温時のポーセレンと耐火模型材の熱膨張曲線が近似しており，焼成過程におけるポーセレンの変形は少なく，ポーセレン修復物の適合性への影響は少ないことが予想された．耐火模型材の寸法変化は水を添加しなかった粉液比のものと比較して，水を添加したものは収縮が大きく，熱膨張・冷却曲線が低温側にシフトした．1級窩洞では，水の添加に伴った耐火模型材の収縮がインレー体の適合性の向上に寄与したと思われる．しかしながらベニア，インレーともにより適合性の向上が望まれ，窩洞形態や技工操作で補うことが必要である． |
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| AbstractList | ポーセレン・ラミネートベニア修復とポーセレン・インレー修復は接着材料の接着強度の向上および患者の審美性への要望により需要が増えている．この修復物の作製方法の中で，歯の微妙な色や形態を再現するには耐火模型材を用いた築盛・焼成法が最も適するものである．本研究は築盛・焼成法を用いて作製したポーセレン・ラミネートベニアならびにポーセレン・インレーと窩洞との間隙，ポーセレンと耐火模型材の加熱・冷却による熱膨張・収縮曲線，および繰り返し焼成による寸法変化を測定し，熱的挙動がポーセレン修復物の適合性に及ぼす影響を検討した． 今回は築盛・焼成用システム2種類（Laminaシステム，G-Cera CosmotechIIシステム）を用いて行った．耐火模型材はメーカー指示通りの粉液比（インレー模型作製時の液/水の比は，Laminaシステムの場合が1:2，G-Cera CosmotechIIシステムの場合が3:5）でポーセレン・ラミネートベニアと1級ポーセレンインレーを作製した．また，ベニアと同じ粉液比の耐火模型を用いたインレーも作製した． 修復物と模型との間隙は耐火模型材の種類にかかわらず，ベニアの場合は中央部から辺縁に向かって大きくなり，インレーの場合は窩壁中央部，辺縁部，窩底中央部の順に大きくなった．水を添加した耐火模型材で作製したインレーの間隙は小さくなる傾向にあった．昇温時のポーセレンと耐火模型材の熱膨張曲線が近似しており，焼成過程におけるポーセレンの変形は少なく，ポーセレン修復物の適合性への影響は少ないことが予想された．耐火模型材の寸法変化は水を添加しなかった粉液比のものと比較して，水を添加したものは収縮が大きく，熱膨張・冷却曲線が低温側にシフトした．1級窩洞では，水の添加に伴った耐火模型材の収縮がインレー体の適合性の向上に寄与したと思われる．しかしながらベニア，インレーともにより適合性の向上が望まれ，窩洞形態や技工操作で補うことが必要である． |
| Author | 大田, 高史 陳, 克恭 小園, 凱夫 柿川, 宏 寺下, 正道 |
| Author_xml | – sequence: 1 fullname: 寺下, 正道 organization: 九州歯科大学口腔機能科学専攻医療人間形成学講座総合診療学分野 – sequence: 1 fullname: 柿川, 宏 organization: 九州歯科大学口腔機能科学専攻口腔機能再建学講座生体材料学分野 – sequence: 1 fullname: 大田, 高史 organization: 九州歯科大学口腔機能科学専攻口腔治療学講座齲蝕歯髄疾患制御学分野 – sequence: 1 fullname: 小園, 凱夫 organization: 九州歯科大学口腔機能科学専攻口腔機能再建学講座生体材料学分野 – sequence: 1 fullname: 陳, 克恭 organization: 九州歯科大学口腔機能科学専攻口腔治療学講座齲蝕歯髄疾患制御学分野 |
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| References | 12) 三枝尚登，加藤喜郎:臼歯部接着性ポーセレンインレー修復に関する研究（第2報）窩洞形態と耐火模型材の寸法精度が窩洞適合性に与える影響について（MOD窩洞の場合）．日歯保存誌 35:1166-1180, 1992. 21) Rosenstiel, S. F., Land, M. F. and Crispin, B. J.: Dental luting agents:A review of the current literature. J. Prosthet. Dent. 80:280-301, 1998. 13) Hayashi, M., Miura, M., Nishimura, N., Takeshige, F. and Ebisu, S.: Effect of cavity form and setting expansion of refractory dies on adaptability of fired ceramic inlays. Oper. Dent. 25:33-39, 2000. 25) 吉田 孝，山口龍司，加藤喜郎:キャスタブルガラスセラミックインレーにおけるセメントの測定について．日歯保存誌 41:875-884, 1998. 17) Calamia, R. J. and Simonsen, R. J.: Effect of coupling agents on bond strength of etched porcelain. J. Dent. Res. 63:162-362, 1984. 2) Calamia, J. R.: Etched porcelain veneers:A new treatment modality based on scientific and clinical evidence. N. Y. J. Dent. 53:255-259, 1983. 11) 三枝尚登，加藤喜郎:臼歯部接着性ポーセレンインレー修復に関する研究（第1報）窩洞形態と耐火模型材の寸法精度が窩洞適合性に与える影響について（MO窩洞の場合）．日歯保存誌 35:1148-1165, 1992. 9) 細川隆司，陳 克恭，永松 浩，寺下正道，内田康也:歯科用CAD/CAMシステム（CEREC）を用いたオールセラミックレストレーション．九州歯会誌 47:428-434, 1993. 20) 新田義人，山田敏元，細田裕康:コンポジットレジンインレー修復法の確立に関する研究（第3報）各種レジン系セメントの重合性能について．日歯保存誌 33:1008-1019, 1990. 15) 窪田敏之:歯科用接着性レジンのセラミックスに対する接着挙動について（第1報）．歯材器 3:739-746, 1984. 10) 勝山 茂，亀田寧久，田中久義:ポーセレンインレー 特に直接焼成法を中心として．歯界展望 29:295-300, 1967. 5) 平井義人:ポーセレンラミネートベニア修復の臨床成績．日歯保存誌 32:393-397, 1989. 1) Horn, H.: Porcelain laminate veneers bonded to etched enamel. Dent. Clin. N. Am. 27:671-684, 1983. 14) 中村光夫，阿部義人，中林宣男:歯質・歯科用合金・ポーセレンに接着するボンデイングライナーの試作 TMPTフィラー/MMA系レジンセメントへの応用．歯材器 3:250-255, 1984. 6) Gordon, J. C., Thomas, A. B. and Ronald, B.: Accuracy of fit of direct-firing porcelain inlays. J. Prosthet. Dent. 22:46-53, 1969. 8) 林 美加子:ポーセレンインレーの臨床成績 —短期経過例—．日歯保存誌 34:1541-1548, 1992. 22) 林 美加子，椿本裕子，竹重文雄，岩見行晃，江原 篤，山田朋美，野〓由一郎，木ノ本喜史，今里 聡，恵比須繁之:セラミックインレーのin vitro辺縁劣化試験の確立—レジンセメント幅が辺縁劣化に及ぼす影響—．日歯保存誌 47:1-8, 2004. 18) 中村勝文:接着性レジンセメントのインレー保持効果とその耐久性に関する研究 第1報 窩洞のテーパーと保持力の経時的変化に関する研究．日歯保存誌 31:28-51, 1988. 7) Arnold, M., Ernst, F. D. and Wenzel, W.: The ceramic inlay. Stomal. DDR. 24:464-469, 1974. 16) 松村英雄，田中卓男，熱田 充，中村光夫，中林宣男:シランカップリング剤とカルボン酸系モノマーによる陶材，石英，アルミナの接着．補綴誌 31:1494-1498, 1987. 4) 長野三代太，寺下正道，小川孝雄，森 敏夫，蕭 庸雄，河喜多伸一，陳 克恭，和田正之，井口由利，河上三枝:ポーセレン・ラミネートベニア修復の技工操作とその問題点．九州歯会誌 42:210-214, 1988. 3) 長野三代太，寺下正道，小川孝雄，森 敏夫，蕭 庸雄，河喜多伸一，陳 克恭，和田正之，井口由利，河上三枝:ポーセレン・ラミネートベニア修復の臨床とその問題点．九州歯会誌 41:1262-1269, 1987. 23) 平井義人，寺中敏夫，寺下正道，千田 彰:保存修復学 第5版．医歯薬出版社，東京，2007，265 19) 寺中敏夫，井上正義，寺下正道編集:保存修復臨床ヒント集．クインテッセンス出版社，東京，2004，146-152. 24) 浅野倉栄，山田 毅，山本雄嗣，高水正明，河野 篤:キャスタブルガラスセラミックスの内側性窩洞への適合性に関する研究（第3報）スペーサーの応用．日歯保存誌 38:860-866, 1995. |
| References_xml | – reference: 22) 林 美加子，椿本裕子，竹重文雄，岩見行晃，江原 篤，山田朋美，野〓由一郎，木ノ本喜史，今里 聡，恵比須繁之:セラミックインレーのin vitro辺縁劣化試験の確立—レジンセメント幅が辺縁劣化に及ぼす影響—．日歯保存誌 47:1-8, 2004. – reference: 3) 長野三代太，寺下正道，小川孝雄，森 敏夫，蕭 庸雄，河喜多伸一，陳 克恭，和田正之，井口由利，河上三枝:ポーセレン・ラミネートベニア修復の臨床とその問題点．九州歯会誌 41:1262-1269, 1987. – reference: 8) 林 美加子:ポーセレンインレーの臨床成績 —短期経過例—．日歯保存誌 34:1541-1548, 1992. – reference: 20) 新田義人，山田敏元，細田裕康:コンポジットレジンインレー修復法の確立に関する研究（第3報）各種レジン系セメントの重合性能について．日歯保存誌 33:1008-1019, 1990. – reference: 17) Calamia, R. J. and Simonsen, R. J.: Effect of coupling agents on bond strength of etched porcelain. J. Dent. Res. 63:162-362, 1984. – reference: 2) Calamia, J. R.: Etched porcelain veneers:A new treatment modality based on scientific and clinical evidence. N. Y. J. Dent. 53:255-259, 1983. – reference: 7) Arnold, M., Ernst, F. D. and Wenzel, W.: The ceramic inlay. Stomal. DDR. 24:464-469, 1974. – reference: 25) 吉田 孝，山口龍司，加藤喜郎:キャスタブルガラスセラミックインレーにおけるセメントの測定について．日歯保存誌 41:875-884, 1998. – reference: 5) 平井義人:ポーセレンラミネートベニア修復の臨床成績．日歯保存誌 32:393-397, 1989. – reference: 1) Horn, H.: Porcelain laminate veneers bonded to etched enamel. Dent. Clin. N. Am. 27:671-684, 1983. – reference: 9) 細川隆司，陳 克恭，永松 浩，寺下正道，内田康也:歯科用CAD/CAMシステム（CEREC）を用いたオールセラミックレストレーション．九州歯会誌 47:428-434, 1993. – reference: 4) 長野三代太，寺下正道，小川孝雄，森 敏夫，蕭 庸雄，河喜多伸一，陳 克恭，和田正之，井口由利，河上三枝:ポーセレン・ラミネートベニア修復の技工操作とその問題点．九州歯会誌 42:210-214, 1988. – reference: 21) Rosenstiel, S. F., Land, M. F. and Crispin, B. J.: Dental luting agents:A review of the current literature. J. Prosthet. Dent. 80:280-301, 1998. – reference: 14) 中村光夫，阿部義人，中林宣男:歯質・歯科用合金・ポーセレンに接着するボンデイングライナーの試作 TMPTフィラー/MMA系レジンセメントへの応用．歯材器 3:250-255, 1984. – reference: 16) 松村英雄，田中卓男，熱田 充，中村光夫，中林宣男:シランカップリング剤とカルボン酸系モノマーによる陶材，石英，アルミナの接着．補綴誌 31:1494-1498, 1987. – reference: 13) Hayashi, M., Miura, M., Nishimura, N., Takeshige, F. and Ebisu, S.: Effect of cavity form and setting expansion of refractory dies on adaptability of fired ceramic inlays. Oper. Dent. 25:33-39, 2000. – reference: 6) Gordon, J. C., Thomas, A. B. and Ronald, B.: Accuracy of fit of direct-firing porcelain inlays. J. Prosthet. Dent. 22:46-53, 1969. – reference: 11) 三枝尚登，加藤喜郎:臼歯部接着性ポーセレンインレー修復に関する研究（第1報）窩洞形態と耐火模型材の寸法精度が窩洞適合性に与える影響について（MO窩洞の場合）．日歯保存誌 35:1148-1165, 1992. – reference: 12) 三枝尚登，加藤喜郎:臼歯部接着性ポーセレンインレー修復に関する研究（第2報）窩洞形態と耐火模型材の寸法精度が窩洞適合性に与える影響について（MOD窩洞の場合）．日歯保存誌 35:1166-1180, 1992. – reference: 23) 平井義人，寺中敏夫，寺下正道，千田 彰:保存修復学 第5版．医歯薬出版社，東京，2007，265． – reference: 18) 中村勝文:接着性レジンセメントのインレー保持効果とその耐久性に関する研究 第1報 窩洞のテーパーと保持力の経時的変化に関する研究．日歯保存誌 31:28-51, 1988. – reference: 24) 浅野倉栄，山田 毅，山本雄嗣，高水正明，河野 篤:キャスタブルガラスセラミックスの内側性窩洞への適合性に関する研究（第3報）スペーサーの応用．日歯保存誌 38:860-866, 1995. – reference: 15) 窪田敏之:歯科用接着性レジンのセラミックスに対する接着挙動について（第1報）．歯材器 3:739-746, 1984. – reference: 19) 寺中敏夫，井上正義，寺下正道編集:保存修復臨床ヒント集．クインテッセンス出版社，東京，2004，146-152. – reference: 10) 勝山 茂，亀田寧久，田中久義:ポーセレンインレー 特に直接焼成法を中心として．歯界展望 29:295-300, 1967. |
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| StartPage | 73 |
| SubjectTerms | ポーセレン・インレー ポーセレン・ラミネートベニア 寸法変化 熱膨張収縮 耐火模型材 |
| Title | ポーセレン・ラミネートベニアとポーセレン・インレーの適合性に及ぼす耐火模型材の熱的挙動 |
| URI | https://www.jstage.jst.go.jp/article/kds/62/3.4/62_3.4_73/_article/-char/ja |
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