高齢者の無症候性頭部MRI病変と動脈硬化性疾患について
脳血管障害の既往歴, 痴呆や麻痺などの障害のない60歳以上の76例 (患者群49例, 脳ドック群27例, 平均年齢66.7±5.0歳) を対象に頭部MRI (1.5T) 上の側脳室周囲 (PVH), 深部白質 (WMH)および橋 (PH) の高信号域の出現頻度と動脈硬化性危険因子との関連を調べた. MRI病変の評価は主にT2強調画像において, Fazekas らの方法を改変し病変の程度に応じたポイントを設定して合計をMRIスコアとして表した. 脳室拡大は側脳室前角, 体部, 第3脳室の横径を頭蓋内径で除した値で判定した.結果はPVHは62%, WMHは64%, 橋部病変は8%にみられた. PV...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 30; no. 4; pp. 317 - 324 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
01.04.1993
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.30.317 |
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Summary: | 脳血管障害の既往歴, 痴呆や麻痺などの障害のない60歳以上の76例 (患者群49例, 脳ドック群27例, 平均年齢66.7±5.0歳) を対象に頭部MRI (1.5T) 上の側脳室周囲 (PVH), 深部白質 (WMH)および橋 (PH) の高信号域の出現頻度と動脈硬化性危険因子との関連を調べた. MRI病変の評価は主にT2強調画像において, Fazekas らの方法を改変し病変の程度に応じたポイントを設定して合計をMRIスコアとして表した. 脳室拡大は側脳室前角, 体部, 第3脳室の横径を頭蓋内径で除した値で判定した.結果はPVHは62%, WMHは64%, 橋部病変は8%にみられた. PVH (+) 群はPVH (-) 群と比較して高年齢で (p<0.01), 前角, 第3脳室の拡大も強かった (p<0.05). WMH (+) 群はWMH (-)群と比較して高年齢 (p<0.05) でかつ危険因子の関与が強かった (p<0.05). MRIスコアは高血圧, 糖尿病, 虚血性心疾患のいずれかの既往で上昇する傾向があった (p<0.1). MRIスコアおよび脳室拡大は年齢と正の相関 (p<0.05) があった. 脳ドック群では患者群と比較してPH (+) 群が有意に (p<0.05)多かった. 結論としてPVHとWMHではその成因がやや異なり, PVHは脳室拡大とWMHは危険因子と密接に関連している可能性が示唆された. 異なる集団でのMRI病変の比較には群間での危険因子を正確に把握することが必要であり, 画像所見をスコア化することが有用と考えられた. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.30.317 |