久山町における高齢者の生命予後とその危険因子 26年間の追跡調査
1961年に設定した久山町の追跡集団1621名 (当該年齢人口の約90%) のうち, 60歳以上の591名 (男性245名, 女性346名) を対象とした. この集団を1961年11月から26年間追跡し, 主要死因別死亡率とその危険因子について検討した. 追跡期間中に529名 (89.5%) が死亡し, そのうち448名を剖検した (剖検率84.7%). 死因は, 臨床情報および剖検所見をもとに決定した. 追跡開始時の平均年齢は男性67歳, 女性70歳で, 女性が有意に高齢であった. 男性の年齢調整後の総死亡率 (対1,000人年) は89.9で, 女性の56.7と比べ有意に高かった. 男性の...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 31; no. 9; pp. 671 - 676 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
01.09.1994
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.31.671 |
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Summary: | 1961年に設定した久山町の追跡集団1621名 (当該年齢人口の約90%) のうち, 60歳以上の591名 (男性245名, 女性346名) を対象とした. この集団を1961年11月から26年間追跡し, 主要死因別死亡率とその危険因子について検討した. 追跡期間中に529名 (89.5%) が死亡し, そのうち448名を剖検した (剖検率84.7%). 死因は, 臨床情報および剖検所見をもとに決定した. 追跡開始時の平均年齢は男性67歳, 女性70歳で, 女性が有意に高齢であった. 男性の年齢調整後の総死亡率 (対1,000人年) は89.9で, 女性の56.7と比べ有意に高かった. 男性の死亡率を死因別にみると, 脳血管障害が21.4で最も高く, 次いで悪性新生物19.9, 肺炎18.1, 心臓病9.0の順であった. 一方, 女性では, それぞれ9.9, 10.6, 12.2, 8.8であった. 脳血管障害, 悪性新生物, 肺炎による死亡率は, いずれも男性の方が女性より有意に高かった. 一方, 心臓病による死亡率に男女差を認めなかった. Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析では, 総死亡に対して年齢, 男性, 収縮期血圧が有意の独立した危険因子となった. 死因別にみると, 年齢に加えて, 脳血管障害には性 (男性), 収縮期血圧, 心臓病には収縮期血圧, 悪性新生物には喫煙, 肥満, そして肺炎には痩せが有意の独立した危険因子となった. 以上より, 地域住民の高齢者では死亡率に男女差が認められた. 血圧値は心血管病, 肥満, 喫煙は悪性新生物, そして痩せは肺炎死亡の危険因子であった. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.31.671 |