VCMとCPRのMRSAに対するin vitro併用効果 Postantibiotic phaseにおける抗菌効果
MRSA感染症に対するvancomycin (VCM) とβ-lactamのより有効な併用投与方法を検討するための1手段として, VCM, cefpirome (CPR) を用い, 一方の薬剤を前作用することによってpostantibiotic phase (PAE期) に誘導されたMRSAに対する他方の薬剤のsub-MICおよびabove-MICの抗菌効果について検討した.なお, 抗菌効果は, sub-MICではpostantibiotic sub-MICeffect (PASME), 殺菌作用の2点を, above-MICでは殺菌作用をその指標とし, 薬剤前処理の有無および前処理条件を変え...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 70; no. 2; pp. 151 - 160 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
20.02.1996
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ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.151 |
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Summary: | MRSA感染症に対するvancomycin (VCM) とβ-lactamのより有効な併用投与方法を検討するための1手段として, VCM, cefpirome (CPR) を用い, 一方の薬剤を前作用することによってpostantibiotic phase (PAE期) に誘導されたMRSAに対する他方の薬剤のsub-MICおよびabove-MICの抗菌効果について検討した.なお, 抗菌効果は, sub-MICではpostantibiotic sub-MICeffect (PASME), 殺菌作用の2点を, above-MICでは殺菌作用をその指標とし, 薬剤前処理の有無および前処理条件を変えた場合について比較検討した. MRSA臨床分離K1株に対するCPRの抗菌効果は, VCM前処理を行うことにより, above-MICでは殺菌作用の増強を認めなかったが, sub-MICではPASME, 殺菌作用ともに増強した.またこの増強効果はVCM前処理濃度よりむしろ時間に依存して強く認められた.一方, VCMの抗菌効果は, CPR前処理を行うことにより, sub-MIC, above-MIC作用時ともに増強し, この増強効果はCPRの前処理濃度および時間に依存して強く認められた. 以上の結果より, MRSA感染症に対するVCMとβ-lactamの併用効果の1ファクターとして, 一方の薬剤によりPAE期に誘導された菌に対する他方の薬剤のPASMEや殺菌作用増強効果が関与することが示唆された.また, その際, VCMは投与量増量より作用時間の延長が, CPRは投与量増量が重要であると考えられた. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.151 |