ヒトにおける前庭 視覚矛盾刺激により得られる前庭動眼反射(VOR)適応現象の角速度特異性について

前庭動眼反射には長時間続く視覚入力の変化に対しその特性を変化させ,頭部運動時に指標の網膜上のずれを防ぐ機構があり,これを適応現象という.今回我々は19名の健康成人を対象とし,2種類の視覚-前庭矛盾による適応刺激(30度/秒,60度/秒)を与え,他の条件への移行様式に違いがあるか検討を加えた.また回転軸が変化した場合に,獲得した適応現象がどのような影響を受けるかを検討する為,EVA(earth vertical rotation)下に60度秒で適応現象を獲得した後,どのような適応現象の移行を示すかを30度nose-up•30度nose-downでのOVAR(off vertical axis r...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 109; no. 5; pp. 461 - 468
Main Authors 鈴木, 一輝, 渡辺, 昭司, 加藤, 弓子, 島田, 園子, 肥塚, 泉
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.05.2006
日本耳鼻咽喉科学会
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Summary:前庭動眼反射には長時間続く視覚入力の変化に対しその特性を変化させ,頭部運動時に指標の網膜上のずれを防ぐ機構があり,これを適応現象という.今回我々は19名の健康成人を対象とし,2種類の視覚-前庭矛盾による適応刺激(30度/秒,60度/秒)を与え,他の条件への移行様式に違いがあるか検討を加えた.また回転軸が変化した場合に,獲得した適応現象がどのような影響を受けるかを検討する為,EVA(earth vertical rotation)下に60度秒で適応現象を獲得した後,どのような適応現象の移行を示すかを30度nose-up•30度nose-downでのOVAR(off vertical axis rotation)下で検討した.適応刺激には網膜上の視機刺激のずれ速度を2倍にする方法(×2刺激)と,なくす方法(×0刺激)を用いた,最大角速度30度/秒,周波数0.3Hzでは×2刺激で30度/秒と40度/秒で利得増加を認め,より大きな角速度への適応現象の移行を認めた.最大角速度60度/秒,周波数0.3Hzでは×2刺激で他の角速度への移行はなかった.OVARでは×2刺激で利得増加を認めたが,×0刺激では利得変化は認めなかった.半規管-眼反射における適応現象は角速度の違いによる差異を有する可能性が示唆された.OVARでの利得の変化はこれを構成する成分である半規管-眼反射の変化によるものと思われた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.109.461