かたさの異なる米飯の咀嚼筋筋電図

米飯のかたさが咀嚼に及ぼす影響を明らかにする目的で本研究を行った.米重量に対し1.2, 1.5, 3.0および10.0倍の加水率で炊飯した.機器測定で得られた飯のかたさは, 水分含量が少ないほど高値を示した.5gの一口量を健常若年女性が咀嚼したときの左右の咬筋および側頭筋より筋電位を測定した.かたい試料ほど, 咀嚼開始から嚥下までの咀嚼回数・咀嚼時間, 振幅が増加した.これに対応し, 筋活動総和や筋活動時間もかたい試料で高値を示した.もっとも軟らかい試料を5gと10g咀嚼した場合には, 咀嚼回数・咀嚼時間, 筋活動量総和が, 10gのほうが高値を示したが, 試料の分量を2倍量にしても筋電図パラ...

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Published in日本咀嚼学会雑誌 Vol. 14; no. 2; pp. 43 - 49
Main Authors 中山, 裕子, 神山, かおる
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 特定非営利活動法人 日本咀嚼学会 30.11.2004
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Summary:米飯のかたさが咀嚼に及ぼす影響を明らかにする目的で本研究を行った.米重量に対し1.2, 1.5, 3.0および10.0倍の加水率で炊飯した.機器測定で得られた飯のかたさは, 水分含量が少ないほど高値を示した.5gの一口量を健常若年女性が咀嚼したときの左右の咬筋および側頭筋より筋電位を測定した.かたい試料ほど, 咀嚼開始から嚥下までの咀嚼回数・咀嚼時間, 振幅が増加した.これに対応し, 筋活動総和や筋活動時間もかたい試料で高値を示した.もっとも軟らかい試料を5gと10g咀嚼した場合には, 咀嚼回数・咀嚼時間, 筋活動量総和が, 10gのほうが高値を示したが, 試料の分量を2倍量にしても筋電図パラメータは1.4倍の増加に留まった.一方, 咀嚼周期はかたさ・一口量双方の差に応じた有意差は生じなかった.これらの知見から, ヒトが米飯を咀嚼するときには, 一口量の差よりかたさの差に, より強く影響されると考えられた.また, ある一定量の米飯を食べ終えるには, 少量ずつ口に入れて多数口数噛むよりは, ある程度まとまった量を口に入れて口数が少ないほうが, 総咀嚼量が少なくなることが示唆された.
ISSN:0917-8090
1884-4448
DOI:10.14858/soshaku1991.14.43