歯科口腔外科領域におけるcefdinirの基礎的・臨床的検討

• Published in: CHEMOTHERAPY Vol. 40; no. 10; pp. 1237 - 1250
• Main Authors: 大塚, 芳基, 竹野々, 巌, 山崎, 隆廣, 麻柄, 真也, 島崎, 孝士, 市来, 浩司, 元地, 茂樹, 佐野, 栄作, 吉位, 尚, 中尾, 薫, 島田, 桂吉
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 公益社団法人 日本化学療法学会 1992
• Subjects: 口腔外科; 口腔組織内濃度; 抗菌力; 抜歯創貯留液中濃度
• DOI: 10.11250/chemotherapy1953.40.1237
• ISSN: 0009-3165

Cefdinir (CFDN) の歯科口腔外科領域における有用性を検討する目的で基礎的および臨床的検討を行った。 1) 抗菌力について当講座保存の臨床分離菌95株について調べた結果, グラム陽性菌 (86株) に対する抗菌力は, ampicillin (ABPC), cefteram (CFTM), cefpodoxime (CPDX) とほぼ同等であり, cefuroxime (CXM), cefaclor (CCL), ohoxacin (OFLX) より3～4管優れ, グラム陰性菌 (9株) では, OFLXと同程度～2管程度劣るが, CFTM, CPDXとほぼ同等で, CXM, CCL, ABPCより優れていた。 2) ヒトロ腔組織への移行については, 本剤100mgまたは200mg投与後80～505分で組織を摘出し測定した。顎骨内濃度は, ND～1.272μg/gに分布し, 軟組織への移行は血清を上回るものも多かった。 3) 抜歯創貯留液中濃度は, 36例の患者を対象に, 本剤100mg投与後, 抜歯創の血液を採取し測定した。2時間から4時間で約半数の症例が, 歯性感染症から高頻度に分離されるStreptococcus spp.のMIC70値0.2μg/mlを越えていた。 4) 歯周組織炎5例, 歯冠周囲炎1例, 顎炎7例に投与した結果, 主治医判定では有効以上の症例が11例, 有効率84.6%であった。点数判定では, それぞれ10例, 76.9%という結果であった。副作用は, 1例に下痢, 2例に胃部不快感を認めたが軽度なものであった。また1例にGOT, GPT, Al-Pの異常値が投与中に認められたが軽度なものであり, 投与終了後正常値に復した。 以上のことより本剤は歯科口腔外科領域の感染症治療に安全で有用性の高い抗菌剤であると思われる。