糖尿病および動脈硬化症における非観血的指標としての腕血流量・血管抵抗・血流速度・大動脈脈波伝播速度

糖尿病患者群 (DM) 32名, 健常者 (C) 群15名を対象とし, 非観血的な方法で, 大動脈脈波伝播速度 (PWV)・前腕血流量 (FBF)・前腕血管抵抗 (VR)・橈骨動脈血流速度 (RABV) を測定し, 動脈硬化の指標としての有用性を検討した. PWVは, C群・DM群ともに, 年齢との間に有意な正の相関を示し, その傾きはDM群で高い傾向にあった. FBFは, 若年DM群でC群に比し, 低下しており, C群で年齢と有意な負の相関を示した. 高血圧を合併したDM群で, C群に比し有意に低下していた. VRは, C群で加齢により増加し, DM群では若年時より高かった. 一方, RAB...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 28; no. 2; pp. 194 - 199
Main Author 赤羽, 重樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 01.03.1991
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.28.194

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Summary:糖尿病患者群 (DM) 32名, 健常者 (C) 群15名を対象とし, 非観血的な方法で, 大動脈脈波伝播速度 (PWV)・前腕血流量 (FBF)・前腕血管抵抗 (VR)・橈骨動脈血流速度 (RABV) を測定し, 動脈硬化の指標としての有用性を検討した. PWVは, C群・DM群ともに, 年齢との間に有意な正の相関を示し, その傾きはDM群で高い傾向にあった. FBFは, 若年DM群でC群に比し, 低下しており, C群で年齢と有意な負の相関を示した. 高血圧を合併したDM群で, C群に比し有意に低下していた. VRは, C群で加齢により増加し, DM群では若年時より高かった. 一方, RABVは, 年齢・糖尿病の有無・高血圧合併の有無で差を認めなかった. 諸因子間の関係をみると, PWVとFBFあるいはVRとの間には, 相関を認めなかった. VRは, 両群とともに, FBFと負の相関を示した. FBFとRABVの間には, DM群で有意な負の相関が得られ, 末梢血管抵抗の高いDM群では, FBFは動静脈の distensibility を表わし, RABVの増加は, 血管内皮の障害につながる可能性があると考えられる. 以上より, PWV・FBFはそれぞれ容量血管・抵抗血管の動脈硬化の良い非観血的指標となりうる.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.28.194