体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)導入下に緊急で気管分岐部切除再建を行った1症例

呼吸器外科手術の中でも気管分岐部切除再建は非常に稀な術式である.また高度な技術を要することから特に麻酔科との連携を図りながら手術に臨むことが多い.今回我々は気管分岐部再建を伴う手術を救命目的に緊急で施行せざるを得なかった気管癌の症例を経験したので報告する.症例は76歳男性.気管癌の診断で当科に転院搬送後,術前精査中に左側の完全無気肺を認めたため救命目的に緊急手術の方針となった.手術は体外式膜型人工肺導入下に施行した.右開胸にて気管分岐部切除を施行し,double barrel型にて再建を行った.術後は誤嚥性肺炎や間質性肺炎,気管分岐部の吻合部離開など術後合併症を引き起こし,周術期管理は決して容...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 5; pp. 493 - 499
Main Authors 河合, 秀樹, 石井, 良明, 南谷, 佳弘, 中, 麻衣子, 今井, 一博, 髙嶋, 祉之具
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2023
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.37.493

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Summary:呼吸器外科手術の中でも気管分岐部切除再建は非常に稀な術式である.また高度な技術を要することから特に麻酔科との連携を図りながら手術に臨むことが多い.今回我々は気管分岐部再建を伴う手術を救命目的に緊急で施行せざるを得なかった気管癌の症例を経験したので報告する.症例は76歳男性.気管癌の診断で当科に転院搬送後,術前精査中に左側の完全無気肺を認めたため救命目的に緊急手術の方針となった.手術は体外式膜型人工肺導入下に施行した.右開胸にて気管分岐部切除を施行し,double barrel型にて再建を行った.術後は誤嚥性肺炎や間質性肺炎,気管分岐部の吻合部離開など術後合併症を引き起こし,周術期管理は決して容易ではなかったが,術後約4ヵ月後に無事転院となった.緊急で気管分岐部再建まで要した手術は稀であり,文献を交えて検討する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.37.493